研究課題/領域番号 |
23658151
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上田 宏 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (00160177)
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キーワード | サケ / 産卵行動 / 口開け行動 / 心停止 / 刺激伝導系 / ランゲンドルフ還流 |
研究概要 |
我国の重要な水産資源のシロザケは、雌雄が大きく口を開けて放卵・放精する時に数秒間、心停止する生物学・医学的に興味深い生命現象を示す。シロザケの産卵時の心拍停止・再開機構を解明するため、次の5点に着目して研究を行い、平成24年度の実験により下記のような成果を得た。1)カルボシアニン色素を用いたサケ心臓の刺激伝導系の解析:カルボシアニン色素(DiI)を用いて、固定標本における延髄から心臓への順行性染色を試みたが、DiIが心臓まで到達せず、迷走神経(副交感神経)の分岐を観察できなかった。2)サケの心停止時のアセチルコリン濃度とカリウムイオン濃度の測定:ヒメマスの腹大動脈からのカニュレーション手法を開発し、平常時に採血した血液からアセチルコリン濃度とカリウムイオン濃度の解析を行っている。3)多回産卵するニジマスの産卵時の心臓機能の解析:今年度はニジマスが産卵しなかったので、カラフトマスに心電図ロガーを装着して放卵・放精時の心電図を取得することができた。放卵・放精時のカラフトマスでもシロザケと同様な明瞭な心停止が観察された。4)サケの心停止と生殖腺成熟との関連解析:ヒメマスにGnRHaおよびDFPを投与して成熟促進を試みたが、放卵・放精する個体が出現しなかった。5)ランゲンドルフ還流実験による心拍再開刺激の検討:ヒメマスの心臓を取り出し生体外で拍動させるランゲンドルフ還流実験手法の開発し、解析を進めている。今後、生体の延髄にDiIを圧注入し、一定の生存期間をおいた後サンプリングを行うin vivo実験を行う必要性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に行う予定であった5つの研究項目に関する実験を実行するとともにもに、次年度の研究の準備を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に得た実験結果、および準備した実験を着実に実行し、研究をまとめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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