海産無脊椎動物であるウニをモデル生物とし、棘皮動物に脊椎動物と同様に生殖腺刺激ホルモンが存在するか否かを明らかにし、海産無脊椎動物の内分泌機構の解明に必要な基礎データを得ることを目的とした。本研究課題では、ウニ生殖巣を用いた生体外器官培養系の確立および生殖巣で合成・蓄積されている主要卵黄タンパク質(MYP)および内部標準遺伝子であるGAPDHの微量遺伝子発現定量系の確立を目指した。本研究課題において、まず、MYPおよびGAPDHの発現量定量解析のためリアルタイムPCR法の確立を行い、良好な定量解析法を確立した。ウニ生殖巣を生体外器官培養し生殖巣の生存状況を先に確立したMYPおよびGAPDHの遺伝子発現量解析により判定した結果、培養1日後に発現量は低下するが、その後5日目まで発現量が一定していた。これらの成果から良好な生殖巣の生存状況を確認できたため、ウニ生殖巣の生体外培養系が確立できた。これにより、生殖巣培養系を用いた生殖腺刺激ホルモン探索研究を展開することが可能になった。
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