研究課題/領域番号 |
23658159
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
吉岡 基 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30262992)
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研究分担者 |
浅川 修一 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (30231872)
高柳 淳 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80245464)
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キーワード | イルカ / 形態 / 後肢 / Tursiops / ホメオボックス遺伝子 / ゲノム解析 / 不死化 / iPS細胞 |
研究概要 |
世界で唯一飼育されている,腹びれをもつ雌のハンドウイルカ1頭を対象に,鯨類における後肢発現機構を遺伝学的手法により明らかにするため,①腹びれイルカのゲノムDNAソースを安定的に得るための培養細胞株の樹立,②腹びれイルカiPS細胞樹立と性状解析,③次世代シーケンサーシーケンシングデータの解析と特定遺伝子完成シーケンスの作成を行うことを目標に2年間の研究を行った.なお,対象個体は研究期間終了直後,急死した. ①,②については,腹びれイルカに最終適用すべく,同種別個体の血液からリンパ球細胞を,皮膚片から線維芽細胞を分離し,GFPを発現する組換えレンチウィルスと組換えセンダイウイルスベクターの感染を試みた.遺伝子導入効率が悪いことが判明したため,種々の方法を試行した結果,マイコプラズマ除去試薬で線維芽細胞を処理するとウィルス感染効率が向上することが示唆された.また,死体よりリンパ球細胞を大量に得て,凍結保存したほか,アポトーシス阻害剤含有培地に保存した皮膚片より線維芽細胞を分離・増殖中である. ③については,前年度までにゲノムDNAを抽出して次世代シーケンサーで解読した結果,後肢形成に極めて重要なホメオボックス遺伝子のホメオボックスドメインにミスセンス変異があり,有力遺伝子がみつかっていたため,最終年度は,飼育個体や漁業で捕獲された通常個体200個体以上から血液を得て,同様な変異がないかを検索した.その結果,現時点で同様な変異は発見されておらず,候補遺伝子が極めて有力なものとなった. 上記以外に,子孫への腹びれの影響を見るため,腹びれイルカの繁殖を目指し,2013年1月,成熟雄個体を新規搬入し,腹びれイルカとのペアリングを実施した.同居開始後,腹びれイルカとの間に繁殖行動が観察され,妊娠も期待されたが,同年3月,対象個体は体調不良に陥り,4月4日死亡した.
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