研究課題/領域番号 |
23658160
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 天士 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80305490)
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研究分担者 |
左子 芳彦 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60153970)
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キーワード | 窒素固定ラン藻 / ラン藻 / シアノファージ / CRISPR / シアノテーケ |
研究概要 |
本研究は、シアノファージ(ラン藻ウイルス)の宿主内での高い遺伝子発現をもたらす分子メカニズムを応用した効率的な光合成による有用物質生産系(光発酵系)の確立を最終目標とし、新規窒素固定型単細胞性海産ラン藻ならびその感染性ファージを分離し、その遺伝的・性状解析を進めて、新規な海洋ラン藻ファージ感染系のライブラリーを構築する。24年度の成果は以下のとおりである。 ① 窒素固定ラン藻の沿岸における分布:2012年4から9月にかけて大阪湾・紀伊水道・播磨灘で各種窒素固定ラン藻を対象としたリアルタイムPCRおよびクローン解析を行った。単細胞性窒素固定ラン藻であるGroup A・Cが多くの地点・時期から検出され、それぞれ最大 1.1×104および2.0×105 nifH gene copies l-1検出された。瀬戸内海には、Group Aに加えて、多様なGroup Cに属する窒素固定ラン藻が分布していること初めて示した。 ② 窒素固定ラン藻の分離性状:海水試料を孔径0.2 µmのポリカーボネートフィルター上に捕集し、炭素源および窒素源を含まないASP2、ASN IIIおよびAQUIL培地に添加した。30°C、照度40 µmol photons m-2 s-1、12時間明:12時間暗の光条件下で増殖させ画線法により単離した。得られた株は、nifH遺伝子および16S rRNA遺伝子に基づきシアノテーケ・グレオテーケグループに属するGroup Cタイプであった。 ③ ファージの分離の試み:全ゲノム配列が決定されているラン藻に対してウイルス感染履歴であるCRISPR/Casシステムの分布とタイプを明らかにした。今回対象としたラン藻に感染するシアノファージに由来する配列はデータベース上に存在せず、シアノファージ-ラン藻感染系の組み合わせが膨大に存在することが示唆された。
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