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2011 年度 実施状況報告書

アコヤガイ外套膜上皮細胞移植による真珠生産法と真珠黄色度調節技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23658169
研究機関独立行政法人水産総合研究センター

研究代表者

淡路 雅彦  独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, 繁殖グループ長 (20371825)

研究分担者 柿沼 誠  三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (60303757)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード真珠 / 細胞培養 / 色素 / アコヤガイ / 外套膜
研究概要

この研究の目的は真珠を作るアコヤガイ外套膜外面上皮細胞を培養条件下で増殖させ、その培養細胞の移植により真珠を生産する技術を開発することと、真珠の品質を決める重要な要因である黄色味について、その実体である黄色色素とその産生に関わる遺伝子を明らかにすることである。23年度は上皮細胞移植法の最適化、外面上皮細胞用培養液と基質の検討、黄色色素産生に関連する遺伝子のスクリーニングを計画し、以下の結果を得た。1.アコヤガイ外套膜から分離した外面上皮細胞をそのまま移植して真珠形成率を比較することにより上皮細胞移植方法を検討した。その結果、酵素処理により分離した上皮細胞を、アコヤガイの生体防御反応を誘起する物質および粘性を高める物質を含む生理塩類液に懸濁し、真珠核の一部に付着させて移植することにより、80%前後の真珠核で真珠形成が認められた。真珠形成に必要な移植細胞数は直径4.5mmの真珠核に対し約5000細胞であり、予想より少ない細胞数で真珠形成が認められた。この結果は、従来の外套膜組織片移植ではアコヤガイ1貝から真珠核約40個分の組織片しか得られないのに対し、上皮細胞移植では1貝から真珠核約400個分の細胞を得ることができることを示している。2.外面上皮細胞用培養液、基質の検討では、培養器への細胞の接着にポリリジンが有効であることが示された。3.アコヤガイ真珠層から黄色色素を抽出、分離する方法を確立した。真珠層粉末を脱灰し、各種有機溶媒で抽出することで黄色色素が分離できた。その溶解性、安定性を検討し化学構造解析を進めたが、MALDI-TOF/MS、アミノ酸分析、NMR等の一般的な解析手法では構造を明らかにできなかった。この結果は真珠層中の黄色色素は従来の研究から予想されていた物質(ペプチド)とは化学構造が大きく異なる可能性を示している。色素産生関連遺伝子のスクリーニングには至らなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上皮細胞移植法の最適化、外面上皮細胞用培養液と基質の検討についてはおおむね順調に進展しているが、真珠層に含まれる黄色色素の実体とその産生に関わる遺伝子の解明はやや遅れている。そのため「やや遅れている」と評価した。

今後の研究の推進方策

真珠層に含まれる黄色色素の実体解明には予想より時間がかかっているが、研究計画の大きな変更はない。24年度は以下の3項目を進める。1.上皮細胞移植法については23年度に得られた結果を基にして、その最適化を進める。また外面上皮細胞の凍結保存条件を確立するため凍結保護剤の種類、凍結および解凍の温度条件を検討し、凍結保存条件を最適化する。黄色真珠層系統アコヤガイと白色真珠層系統アコヤガイから外套膜外面上皮細胞を分離し、その混合比を変えた上皮細胞懸濁液を調製して上皮細胞移植を行う。そして生産される真珠の黄色度を測定して混合比との関連を検討する。2.外面上皮細胞の培養についてはアコヤガイ血清やインスリンなどの培地添加因子の効果を検討し細胞増殖条件の解明を進める。3.黄色色素に関しては分離された色素の酸加水分解物を用いて構造解析を進めるとともに、黄色色素産生に関連する遺伝子のスクリーニングをサブトラクション法等により進める。

次年度の研究費の使用計画

真珠層に含まれる黄色色素の実体解明が予想よりも困難であったため色素産生に関連する遺伝子のスクリーニングが開始できなかった。そのため研究分担者が使用予定であった23年度交付助成金の一部を24年度に繰り越した。研究分担者は繰り越し分と24年度交付助成金により黄色色素の実体解明と色素産生関連遺伝子のスクリーニングを進める。研究代表者は24年度交付助成金により上皮細胞移植法の最適化と外面上皮細胞の培養条件の検討を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Fundamental studies on in vivo and in vitro pearl formation - Contribution of outer epithelial cells of pearl oyster mantle and pearl sacs.2011

    • 著者名/発表者名
      Masahiko Awaji and Akira Machii
    • 雑誌名

      Aqua-Bioscience Monographs

      巻: 4 ページ: 1-39

    • DOI

      doi:10.5047/absm.2011.00401.0001

    • 査読あり
  • [学会発表] Primary culture of the outer epithelial cells of pearl oyster mantle.

    • 著者名/発表者名
      Masahiko Awaji
    • 学会等名
      The international symposium on pearl research.(招待講演)
    • 発表場所
      東京大学弥生講堂
    • 年月日
      2011年10月6日

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公開日: 2013-07-10  

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