陸上動物は糖に対する嗜好性が高いが,魚類はアミノ酸に対する嗅覚・味覚応答が非常に高く,糖にはほとんど反応しない.アンモニア態窒素排出が可能であるにもかかわらず,尿素回路に必要なArg に対して栄養要求性を示す.マツカワでArg によってインスリン分泌が促される.魚類では糖の腸吸収,血糖値の変化,インスリン応答が遅い.ゼブラフィッシュでは,糖の取り込みを司るGLUT1 ノックアウトによって神経系の発生は破綻するが,その他の臓器は正常に発生を続ける.など,魚類が陸上動物に進化する過程で,アミノ酸を主軸にしたエネルギー代謝経路から,多量に存在する陸上植物デンプンに依存する代謝経路を発達させ,味覚なども糖に適応したという仮説を提唱することができる.本研究では,これらの仮説を証明するための萌芽的研究として,本年度は以下のような検討を行った. 蛍光アミノ酸アナログを用いた魚類のin situ アミノ酸取り込み評価法の確立をおこなった.蛍光性のあるアミノ酸アナログ7-azatryptophan,5-hydroxytryptophan,5-bromotryptophanなどをNIH 3T3,RTG-2,CHSE などの脊椎動物系統培養細胞に投与し,Ins 刺激によって細胞内に取り込まれるものをスクリーニングした.7-azatryptophan の培養細胞への取り込みが確認されるとともに,蛍光波長も400nm程度と他の生体成分が発する蛍光から分離できることが明らかとなった. ゼブラフィッシュおよびメダカのGLP-1 の塩基配列からin situ ハイブリダイゼーション用のdigoxigenin RNA プローブを作製した.
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