タウリン生合成の主な経路で、システインスルフィン酸は、システインスルフィン酸脱炭酸酵素(CSD)により、タウリン前駆体であるヒポタウリンに変換される。海水魚はCSD活性が低いため、体内でタウリンを合成する能力が乏しく、経口投与する必要がある。そのため、海水魚のCSD遺伝子を単離し、その発現機構を解明する必要がある。そこで、 マダイおよびブリのCSDの全塩基配列を決定した。その結果、マダイおよびブリのCSDは88.8%の相同性を示し、淡水魚のナイルティラピア、ブラティと近縁であることが示唆された。また,マダイ、ブリ、スズキ、マツカワから、脳、心臓、異、幽門垂、腸、肝臓、胆嚢、脾臓、腎臓、筋肉のCSDの発現解析を行った。マダイでは、脳、心臓、胃、幽門垂、肝臓、脾臓、腎臓で強く発現し、筋肉では発現が見られなかった。ブリでは幽門垂、肝臓で強く発現した。スズキでは、胃、幽門垂、肝臓、腎臓で強く発現した。マツカワでは、心臓、幽門垂、胆嚢で強く発現することがわかった。 以上のことより、魚種によって発現組織は異なるが、CSDの発現は主に幽門垂と肝臓で強く発現する傾向が明らかになった。
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