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2012 年度 実施状況報告書

青果物の流通費用・規格外品削減による自給率向上に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23658184
研究機関鳥取大学

研究代表者

万 里  鳥取大学, 農学部, 准教授 (90325001)

キーワード国際情報交換(中国)
研究概要

平成24年度は中国の北京,上海における青果物流通状況の調査,東京都中央卸売市場調査及び「無等級時間付割引販売」を実施した。
平成24年8月17日~9月2日の日程で中国の北京,上海の卸売市場,農家調査を行った。北京での調査では,中国農業大学経済管理学院の穆 月英教授の協力を得て,北京市最大の新発地総合卸売市場の青果部,市内の清河青果物卸売市場などを訪問し,市場関係者と意見交換を行った。北京の卸売市場は農畜産物の集散地として設立した意味合いが大きく,24時間開場,入場には特に登録制度などはなく,運んできた荷物の量に応じて一定の入場料さえ払えば入場でき,市場内で交易ができる。上海では,曹安青果物卸売市場,銅川水産物卸売市場などを訪問した。新発地市場と同じように,曹安市場は24時間開場,品目,数量に応じた入場料金さえ払えば自由に入場できるが,卸売,仲卸売商社が市場内で販売兼事務所を構えていることが多く,早朝8時までは取引のピークである。
小売市場調査では,北京,上海市内の農産物貿易市場(自由市場),スーパーマーケットなどを調査した。農産物貿易市場では,数年前の露天販売が少なく,屋根付きの市場が多くなってきた。
また,青果物の流通費用を調査するため,北京近郊の大興区,順宜区,昌平区の野菜生産農家37軒にアンケート及び聞き取り調査を実施した。産地集出荷商人が農家まで買付集荷に来るため,収穫及び調整は農家が行うものの,包装用のビニール袋は産地集出荷商人が提供し,農家としては負担しないところもあった。
本研究の最大の特徴である「無等級時間付割引販売」については,鳥取中央農業協同組合に依頼し,2012年6月から2013年3月までの10ヶ月間にわたって,毎月1回,3品目を阪急オアシス南千里店で行ってきた。今年度は販売方法の改善を図り,引き続き数回行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23,24年度における韓国,中国の市場調査・農家調査,及び国内で実施した「無等級時間付割引販売」,国内卸売市場調査などを通して,生鮮食料品の流通・販売の費用変化について明らかにした部分もあった。韓国,中国の卸売市場では市場内での小売に対する制限はないものの,ほとんどの場合,最低包装単位(1箱,1袋など)以上の取引が主流である。また,東京都中央卸売市場大田市場においては,セリ取引の1時間も前の早朝5時半ごろから相対取引が始まり,相対取引は大半を占め,セリ取引について品目数が多いものの,販売ロットは小さくなっている。
中国では,大都市の農産物貿易市場(自由市場)は露天販売から屋根付きの市場と変貌し,衛生面ではスーパーマーケットに及ばないものの,露天販売よりは大部改善してきた。
本研究のテーマである「青果物の流通費用・規格外品削減による自給率向上」に関しては,消費者の安全・安心嗜好から包装を簡略化することは難しく,規格外品の販売,地産地消による輸送費用の削減は現実的な方策である。しかし,大都市圏ではどうしても全国から青果物を供給しなければいけない実態もあり,地産地消だけではその地域の青果物供給が賄えない地域もある。規格外品の販売については,鳥取中央農業協同組合に委託した「無等級時間付割引販売」では,当初は規格外品を入荷して安い値段で売り切ることを企画していたが,生産者はその趣旨を理解できず,規格外品を出してくれなかったり,農協側も見た目の悪いものを市場に出せば,農協のイメージダウンにつながることを懸念して積極的ではなかった。
いままでは研究計画通りに進展しており,平成25年度にはいままでの研究成果を取りまとめ,地方卸売市場調査,「無等級時間付割引販売」の再度実施を予定している。

今後の研究の推進方策

平成25年度は本研究の最終年度である。平成24年度に実施した「無等級時間付割引販売」を反省し,再度実施する予定である。また,消費者は規格外品の購入についてどのように考えているを調査する。生産面においては,青果物流通における農家の費用負担を調査する。さらに鳥取を中心とした地方卸売市場調査する予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度では,海外調査,「無等級時間付割引販売」の実施など,計画的に補助金を使用してきたが,残金3万854円が生じた。その理由は,「無等級時間付割引販売」の最終回は3月5日であり,費用の決済は3月中・下旬で会計年度に当たるため,万が一予算オーパーを考慮して多めに残したが,概ね予算内に収めることができた。生じた残金は平成25年度の補助金と合わせて使用するつもりである。
平成25年度の直接経費は70万円しかなく,H24年度より大部少なくなっている。
「無等級時間付割引販売」の実施に30万円前後を計画している。いままでのアンケート調査などの整理に人員を雇用し,その謝礼金として10万円前後が必要である。国内地方卸売市場調査の旅費は15万円前後,学会発表の旅費は10万円,論文投稿料は5万円前後と計画している。最終報告書作成の雑費として2~3万円が必要と考える。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 牛肉の生産・価格・消費変動及び価格変動の要因分析2012

    • 著者名/発表者名
      万 里
    • 雑誌名

      農業経営研究

      巻: 第50巻 ページ: 52-57

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 中国地域における食品工業の農業への波及効果分析2012

    • 著者名/発表者名
      佐藤淳基・万 里
    • 雑誌名

      農林業問題研究

      巻: 第48巻 ページ: 229-233

    • 査読あり
  • [学会発表] 飼料価格と畜肉市場価格との関連性に関する分析

    • 著者名/発表者名
      万 里
    • 学会等名
      地域農林経済学会
    • 発表場所
      大阪経済大学(大阪市東淀川区)

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公開日: 2014-07-24  

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