わが国の青果物流通は、欧米諸国とは異質の特質を有しており、それは食嗜好の独自性によるものと考えられる。しかし、食育基本法の制定が必要なほどに食が乱れており、そのこととも呼応して、青果物流通の機能が脆弱になり、食文化の一層の退廃を招きかねない状況にある。食嗜好と青果物流通の関連性に着目することによって、これからのわが国の青果物流通のあり方を展望することができる。 本研究では、わが国の食嗜好と青果物流通の関連性の理論的検討を踏まえ、世界に冠たる料理大国とされるフランスとの比較検討を通して、食嗜好が規定する青果物流通の特質と、わが国の食文化に寄与する青果物流通のあり方を展望した。
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