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2012 年度 実施状況報告書

灌漑水由来の栽培リスク早期検知手法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 23658187
研究機関岩手大学

研究代表者

颯田 尚哉  岩手大学, 農学部, 教授 (20196207)

研究分担者 立石 貴浩  岩手大学, 農学部, 准教授 (00359499)
キーワード灌漑水 / 臭素酸 / 成長阻害 / DNA / 酸化損傷 / デオキシグアノシン / 8-ヒドロキシ-デオキシグアノシン / 同時分析
研究概要

本研究では、植物に臭素酸を曝露させ、そのDNA中のdGが酸化されて生成する8-OH-dGを酸化損傷の指標として分析し、灌漑水の栽培リスクの検出手法の確立を目指す。平成24年度は、23年度に構築した高速液体クロマトグラフ(HPLC)によるdG、8-OH-dGの同時測定システムの性能のうち検出限界の評価を試みた。dGは最大5000μg/Lで3段階、8-OH-dGは最大10μg/Lで3段階の直線性を確認し、決定係数は1.00であった。dGについて、サンプル量40μLのときの検出濃度3.40μg/Lで、検出限界137pgであった。8-OH-dGについては、サンプル量40μLのときの検出濃度0.11μg/Lで、検出限界4.4pgであった。
イネの栽培実験では、臭素酸による成長阻害を目視による観察で確認した。23年度の寒天培地栽培ではなく、24年度は水耕栽培を行った。栽培中の平均気温30.8℃(35日間)では、精製水のコントロールに対して臭素酸に曝露した個体は、成長阻害を目視で確認できた。また臭素酸と同じ濃度のナトリウム溶液に曝露させた個体では成長阻害は確認できなかった。栽培中の平均気温26.3℃(28日間)では、精製水のコントロールに対して臭素酸に曝露した個体の成長阻害作用はあまり明確でなく、気候や栽培期間の影響を受けることがわかった。
地下部についてdG、8-OH-dGの同時測定を行い、8-OH-dG/dGの比を指標として評価したところ、臭素酸濃度と8-OH-dG の関連は明確でなく、今後も栽培方法や分析の前処理法補をを含め、さらなる検討を要することがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初目的であるHPLCによるdG、8-OH-dGの同時測定システムを構築し、標準品により分析条件を決定することができた。実試料の分析として、イネ地下部の分析経験をつむことで、dG、8-OH-dG濃度ともに十分検出可能であり、dG濃度がかなり高いことから、システムの高感度化は不要であることもわかった。イネ試料は、水耕栽培で栽培できることがわかり、35日程度で生育に目視上の差を観察できることがわかった。
イネの栽培に限らず、農作物は土壌で栽培されるのが基本である。土壌の構成成分である無機材料と臭素酸との相互作用、特に吸着特性についてはほとんど知られていない。24年度は、臭素酸の無機材料への吸着特性を把握した。

今後の研究の推進方策

平成24年度は、臭素酸のイネの成長への影響について検討し水耕栽培法検討したが、イネを支持する網の目が大きく不安定であるため、安定して水耕栽培する方法を25年度は模索する。新たな水耕栽培法のイネ試料についてもdG、8-OH-dGの同時測定を行い、酸化損傷の程度を検討する。
イネの栽培に限らず、農作物の栽培は土耕が基本であるが、土壌と臭素酸との相互作用、特に吸着特性についてはほとんど知られていない。25年度は、臭素酸の土壌への吸着特性を把握するとともに、土壌微生物への影響も検討する。

次年度の研究費の使用計画

該当無し

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 臭素酸の無機材料への収着特性2012

    • 著者名/発表者名
      颯田尚哉
    • 学会等名
      平成24年度農業農村工学会大会講演会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      20120918-20120920
  • [学会発表] イネの酸化的DNA酸化損傷を指標とした灌漑水の水質異常評価の試み2012

    • 著者名/発表者名
      颯田尚哉、立石貴浩
    • 学会等名
      平成24年度農業農村工学会大会講演会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      20120918-20120920

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公開日: 2014-07-24  

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