灌漑水中には様々な物質が含まれ、植物栽培へのリスクを評価することは非常に難しい。本研究では、ほ乳類の酸化損傷の指標のひとつである8-ヒドロキシルデオキシグアノシン(8-OHdG)を、イネの指標として利用するため、臭素酸濃度と8-OHdGの関係について水耕栽培で検討した。臭素酸によるイネの成長阻害作用は、地上部にも地下部にも観察され、濃度の上昇に連れて大きくなった。HPLCによる8-OHdGとdGの同時分析法を可能にしたが、未知のピークが55分にあり分析間隔は60分とした。イネの根の8-OHdGのレベルと臭素酸の濃度に明確な相関関係はみられないが、収穫日に補正した数値は濃度につれて上昇した。
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