研究概要 |
砂である豊浦砂,粘土で膨潤性のあるモンモリロナイトを含んだ土壌,非晶質のアロフェンを含んだ関東ローム,非膨潤性のカオリナイトを含んだ土壌を用いて,NaCl,CaCl2溶液を混合した際の熱的性質の変化を実験的に調査した.(1) 全ての条件で溶液濃度が増加するにつれて熱拡散係数,熱伝導率は減少する傾向を示した.(2) 砂・粘土の両方で,低溶液濃度(0.05mol/L付近)での熱拡散係数,熱伝導率は急激に減少し、その後濃度の上昇に伴って幾分上昇して元の減少傾向を示した.(3) NaCl溶液はCaCl2溶液よりも熱的性質に大きな変化をもたらした.モンモリロナイト土壌は低塩濃度のとき,土粒子間結合が変化する(van Olphen et al., 1964) ことやカオリナイト土壌は溶液濃度にしたがって微小構造が変化する(McBride, 1994)という先行研究の結果からも,本研究でも低溶液濃度での土壌の微小構造の変化が熱拡散係数,熱伝導率の減少の原因であろうと考えた.また,塩類での差異があったことから今後も粘土鉱物,塩類の組み合わせを変えて調査し,同時に低溶液濃度(0.05 mol/L付近)を中心に電子顕微鏡を用いて観察していく必要がある.
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