研究課題/領域番号 |
23658197
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
芋生 憲司 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40184832)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 自然エネルギー利用 / バイオエタノール |
研究概要 |
本研究の目的は、セルロース系バイオマスからのバイオエタノール生産において,セルロースの糖化酵素であるセルラーゼの使用量を大幅に低減する技術を開発することである。これまでの研究で糖化反応の終了前の段階で糖化液と未糖化の固形分を分離すると多くの酵素が活性を持ったまま固形分中に存在していることが明らかになった。この未糖化固形分に基質と酵素を加えて糖化させるという処理を繰り返すことで,酵素使用量を大幅に低減できる可能性がある。平成23年度は、未糖化固形分に残留する酵素活性評価法の確立と酵素リサイクルによる糖化実験を中心に研究を進めた。 酵素糖化後の固形残渣中に含まれる残留酵素活性の評価を,結晶性セルロース,カルボキシメチルセルロース,セロビオースを用いて行った。その結果,残留活性評価には結晶性セルロースが最も適していることが確認された。 酸素晒しパルプを原料と仮定した場合の未糖化固形分分離の最適タイミングをシミュレーションにより確認した。最適なタイミングは、主として、糖化繰り返し回数、酵素製造工程および蒸留工程での消費エネルギーとコストに支配されるとしてシミュレーションを設計した。本研究では、繰り返し回数を10回と設定し、消費エネルギーの観点から最適化を行い、セルロース糖化率70%が未糖化固形分分離の最適タイミングであることを算出した。 シミュレーションにより導かれた最適タイミングで未糖化固形分の分離を行う酵素リサイクルによる糖化実験を計6サイクル行った。糖化液のグルコース濃度は第6サイクルの糖化液においても、第1サイクルとほぼ同等であり、リグニンの蓄積の影響は少ないことが確認された。また、この実験の結果を用いて酵素使用量の削減効果を算出した結果、生産グルコースあたりの酵素使用量が50%削減されることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の実施計画通りに研究は進展しており,平成24年度実施計画の一部である酵素使用量低減の評価まで研究が進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
1)セルロース,未漂白パルプなど組成の異なる基質を用いた糖化実験を行う。2)前項の結果より各種基質の残存酵素活性を評価する。3)実プロセスへの適用可能性を評価するため,研究結果に基づいて事業化に適した大規模システムの基本設計を行う。4)ヘミセルロースの糖化酵素であるヘミセルラーゼについて同様の実験を行い,適用可能性を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画通り,主として物品費と旅費に予算を充てる。物品費の使用についは実験のためのガラス器具等の消耗品と試薬の購入を予定している。旅費の使用については,海外での研究発表旅費1件と,国内での研究発表旅費2件を予定している。
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