研究課題
本研究は未利用バイオマスに多く含まれる植物繊維の再結合を利用して何の添加剤を加えずに生分解性バイオマスマテリアルを開発することを目的とする.陸上の未利用植物の茎葉(トウモロコシの藁,稲藁等)や海藻(海草)に対し離解処理をし,圧縮成形を行うことによって板状の材料を作製することを試みた.平成24年度では,トウモロコシの藁を原料とし,リファイニング処理を行ったあと,最大負荷圧力を2.0MPaから8.0MPaまで1.5MPaずつ変えてバイオボードを作製した.いずれの条件においてもバイオボードの作製に成功した.またバイオボードに対し,強度試験を行った結果,いずれの実験条件下においても一定の強度を持つことがわかった.最大負荷圧力が5MPaの場合,破断応力が一番大きかった.すなわちバイオボードの強度が強いということである.さらにこれは恐らく5MPaの場合は繊維間再結合に有利だと推測される.繊維間の再結合は圧力ではなく水素結合によってなされているので,「ウォーターブリッジ」の役割が大変重要であることが分かった.さらに稲藁,麦藁を用いてバイオボードを作製することも成功した.同様に曲げ試験や引張試験も行った結果,一定の強さを持つことと,最大負荷圧力5MPaの場合,破断応力が一番大きいことがわかった.本研究では,未利用海藻アナアオサ,海草アマモ及び農産物の副産物としてのトウモロコシの藁等を用いて物理的な手法で繊維を単離させてパルプを作り,圧力と熱を加えてバイオボードを作製することに成功した.本研究に用いた手法は,接着剤等の化学物質をまったく使わずに繊維の再結合を利用してバイオボードを作製することができた.したがって作製したバイオボードは,生分解可能なもので,環境に負荷をかけないバイオマス材料である.本研究の手法で作製したバイオボードは包装材や建築断熱材,農業用マルチとしての利用が期待できる.
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Advanced Materials Research
巻: Vols. 602-604 ページ: 1190-1195
農業機械学会関西支部報
巻: 112 ページ: 42