研究課題/領域番号 |
23658203
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
豊田 淨彦 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30144603)
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キーワード | 国際研究者交流・中国 / 誘電定数 / 温度依存性 / 脂肪酸組成 / 飽和度 / FTIR / GC |
研究概要 |
触媒や加熱操作を用いない環境負荷の少ない油脂の新規分別方法の開発を目的とし、本年度においては、以下の食用油脂について、温度および油脂混合による誘電特性への影響について検討した。 1. 食用油脂誘電率の温度依存性の解析 食用油脂の冷却に伴う相変化による分別のために、食用油脂の誘電率の温度依存性を調べた。パーム油、大豆油、ゴマ油、ヒマワリ油の誘電率の温度依存性を脂肪酸組成の違いから考察した。構成脂肪酸の成分比に依存して、飽和度の最も高いパーム油は高い誘電定数(3.238,25℃)を示し、飽和度の最も低いヒマワリ油は低い値(3.164、25℃)を示した。飽和度が両者の間に位置する他の油脂の誘電定数は、両者の値の間を示した。各油脂の誘電定数は温度上昇と共に直線的な減少を示したが、脂肪酸組成の相違による誘電定数の減少への影響は明確ではなかった。また、誘電損失は10kHz以上で急激な増加を示し、緩和現象が認められたが、脂肪酸組成による相違は明確ではなかった。 2. 混合油脂の誘電率と脂肪酸組成の関係 前年度の結果に基づき、大豆油とパーム油の混合油について、混合比の誘電定数への影響を調べ、GC測定により求めた脂肪酸組成との関係から考察した。飽和脂肪酸の多いパーム油の混交比の増加に伴い誘電定数は増加傾向を示したが、必ずしも誘電定数の増加は脂肪酸組成に直接比例するものではなかった。食用油の主成分であるトリアシルグリセロールの脂肪酸3分子の結合位置(分子種)の誘電率への影響が推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
受入教員と招聘予定の中国人研究者の日程調整が難しく、共同実験の実施が次年度とした。誘電励起のための電極作成に際して、新たに試作を繰り返す技術的な問題が生じたため、実験の進捗が予定より遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
受入教員と招聘予定の中国人研究者の日程調整が難しく、共同実験の実施が次年度とした。外国人研究者の招聘による共同研究を早急に実施するため、頻繁に連絡を取り、日程調整中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
外国人研究者の招聘旅費(23万円)に支出する。
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