脂肪酸組成に基づく油脂の分別は様々な用途で広く行われている。不飽和脂肪酸の分子はcis二重結合部位で屈曲した形態を有し、ラジオ波域の誘電特性は分子回転に基づくため不飽和度の影響を強く受ける。また、緩和周波数付近で損失係数は大きく変化することから適当な周波数の電界下での誘電泳動力と内部発熱を利用した分別法開発の着想を得た。不飽和度の増加に伴い誘電定数は増加し、緩和周波数が低周波側に遷移する傾向が見られた。同様に温度の低下とともに緩和周波数が低周波側への遷移することから、適当な温度、印加周波数の設定により、選択的な誘電加熱と誘電泳動が可能であり、脂肪酸・油脂の分別の可能性が示唆された。
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