平成25年度は,オウレンについて三種類の養液供給法での比較試験を継続するとともに,トウキについて平成24年度に明らかとなった養液条件に基づいて同様の栽培装置で栽培試験を行い,比較検討を加えた。 オウレンについては平成24年度の試験の結果,ドリップ方式,間欠給液方式,スプレー方式の三種類のいずれの給液方法においても根焼けの症状が認められ,給液量および給液間隔の再検討が必要であることが明らかとなったため,各方式に付き,給液間隔,作動時間 ( 給液時間 ) を変えて栽培試験を行った。試験の結果,いずれの給液方式,給液量においても明確な差は確認できず,オウレンの養液栽培法として今回供試した三種類の養液供給法のメリットは明確にならなかった。 トウキについては栽培試験の結果,スプレー法においては枯死率が高く,トウキの栽培には適合しない可能性が示唆された。最も生育が良かったのはドリップ方式であり,ついで間欠給液方式の生育が良い結果となった。また,生育の良かったドリップ方式において植物地下部の携帯を比較したところ,養液栽培に典型的に見られる細根量が増えた個体と主根が伸長する個体が見られた。これはドリップノズルの位置により,根近傍の水分状体が変わったためと考えられ,トウキにおいては主根を伸長させることが重要であるため,ドリップノズルの設置位置を適切に設定することにより,生薬原材料として適切な形態のトウキを栽培できることが明らかとなった。
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