研究課題/領域番号 |
23658208
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
澁澤 栄 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50149465)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | コンポスト / 堆肥 / 都市農業 / 臭気 / 熱画像 |
研究概要 |
本研究は,堆肥材料の表面熱画像テクスチャを利用した悪臭管理法の開発が中心課題であり,堆肥を活用した都市農業推進が本研究の出口である。 本研究の研究協力者として,コンポスト研究の実績のある小島陽一郎氏(畜産草地研究所)と密閉型発酵装置を開発した河合秀樹氏(エコアドバンス),都市コンポストプロジェクトの経験のある八木 茂(元畜産草地研究所),研究補助として房村 遼(修士1年)を配置した。実施内容は以下の通りである。○熱画像測定装置の配備と予備実験:実験計画を整備した段階である。連続自動撮影可能な携帯熱画像カメラCPA-T335 ( CHINO)及びガス検知管等の計測システムを配備し,畜産草地試研究所の了解のもとで実験用堆肥発酵槽を選定した。供試堆肥化資材の選択を進めている。○給食残渣の密閉式堆肥化装置の観察実験:協働研究サイトである府中市南白糸台小学校に設置した密閉式堆肥発酵装置を用いた給食残渣の一次発酵処理の社会実験につき,その概要と課題をとりまとめ,「Systems Approach to Adoption of School-Lunch Garbage Composting Facility in the Primary School」と題して国際会議にて発表した。給食残渣の回収・調製および発酵装置の管理運営,堆肥資材の評価と農地への施用など,堆肥化サプライチェインにかかわる多数の利害関係者の対立と相互依存を整理し,事実と情報の共有による運用の仕組みの形成と調製に貢献した。○都市農業における堆肥活用ポテンシャル調査:「GAPを巡る最新の状況」では最新の農場リスク管理項目について整理し,「精密農業の動向と今後の展望について」では次世代農業担い手を焦点にしたビジネスモデルを整理,「リアルタイム土壌センサを用いた土壌施肥管理」では炭素蓄積農法の可能性を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,表面熱画像テクスチャと内部発酵状態の相関の確認,表面情報による内部発酵予測モデル,および作業仮説の実証確認の三つの課題から構成されている。初年度には第一の課題の計測システム構成がほぼ完成した段階である。また,次年度に計画していた第三の課題が実施可能な模型実験サイト及び社会実験サイトの準備は前倒しし,畜産草地研究所および府中市の協力でほぼ完了している。中心課題の熱画像計測実験と解析が当初予定よりやや遅れているので強化する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
○堆肥資材として小学校給食残渣を利用する方向で実験計画を絞り込む。当初は,給食残渣のほか,牛糞などの複数の堆肥資材を想定したが,素材構成や条件がそれぞれ多様であり,給食残渣のみでも期限内に一般化をめざした観測実験を完了させることはハードルの高いことであることがわかったからである。○南白糸台小学校に設置してある密閉式堆肥発酵装置の操作マニュアルを作成する。現在,防臭効果は認められるものの,完熟堆肥の一次発酵過程が実現されているか疑問が残る。この事実確認も含め,悪臭管理の標準として装置操作マニュアルを草稿し,悪臭管理ポイントを作業プロセスから絞り出す。○表面熱画像と内部発酵情報の同時測定と相関解析を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
○表面熱画像と内部発酵情報の同時測定実験を畜産草地研究所で実施し,データ相関解析を実施する。この実験に物品費,人件費,旅費の大半を投入する。○本研究推進を補完する社会ニーズ顕在化の取り組みとして、調査対象ともしている府中市内小学校にて運用されている密閉式小型コンポスト装置の操作運用マニュアルを作成し,悪臭管理ポイントを絞りこむ。○研究結果をとりまとめ、日韓台農業機械学会主催の国際学会ISMAB2012(韓国,6月)にて発表を行う。また,農業環境工学系学会合同大会(宇都宮,9月)にて研究成果を発表する。
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