研究課題/領域番号 |
23658209
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 雄一 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20373285)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | テラヘルツ波 / 分光スペクトル / 全反射減衰分光法 |
研究概要 |
本研究では、シリコンロッドを導波路とするテラヘルツ帯のフーリエ分光法を構築し、従来法であるATR法との比較を通じて、ケモメトリックスを用いて水溶液サンプル測定に対するテラヘルツ帯の分光測定法の可能性を見出すことを目標としている。そこで今年度は、シリコンロッドの光学系を構築し、分光測定を実施するとともに、ATR法と比較対象となるサンプルの選定を行った。まず、サンプルとして、アスコルビン酸などの水溶液を用い、ATR法およびケモメトリックスを用いた定量評価を行った。20-400cm-1でFS-PLSを用いて解析を行ったところ、単成分の水溶液はR^2で0.9以上の良好な相関を見出し、アスコルビン酸水溶液ではRMSEPは2.791%、RPDは4.48であった。一方、水溶液中で温度を変化させると構造が変わる高分子(N-isopropylacrylamide)を用いた水溶液のATR測定を実施した。ATRプリズム上を26.5から47.3度まで変化させ、各温度でテラヘルツ帯の吸収スペクトルを測定したところ、166cm-1付近に観測される水分子の分子間振動の伸縮モードや低波数側の早い誘電緩和と高分子の相転移に相関が見られた。この変化は、ATR-THz分光法が水溶液中の分子の構造変化を計測できる可能性を示唆していると考えられる結果を得た。しかし、このような変化は極めて小さな変化であり、より詳細な理解を進める上には高感度な計測手法の確立が必要である。そこで、サンプル測定と平行してシリコンロッドを導波路としたシステムを構築している。これまでの分光器の光源は、シリコン端面とのカップリング効率が悪かったため、今回はアパーチャーを内装した光源を準備し、この光源を使った実験系を構築している。光源の納品が遅れたため、現在実験系を構築している段階にあるが、次年度はこの系を用いたサンプル測定を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
メーカー側の部品手配の発注ミスにより高輝度光源の納品に時間を要し、年末からの実験系構築となったため、シリコンロッドを用いた分光測定は十分に行えなかった。しかし、その間にATR系による水溶液測定およびケモメトリックスによる解析検討を行い良好な結果を得ることができたため、次年度行う予定の実験を先行して行うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
現在構築中のシリコンロッド導波路を用いた水溶液分光測定系の評価を実施する。特に純水を用いた基礎実験を通じて、ATR法との比較を行う。これにより本手法の有効性を示し、前年度に行ったアスコルビン酸水溶液やN-isopropylacrylamide水溶液の実験を行う。一方、ATRや導波路に用いているシリコンは、温度によって光学特性が変化する事も想定されるため、温調機能を設ける事も考える必要がある。ATR法は既に対応済みであるが、シリコンロッドに関しては温調機能を設けていない。そこで、サンプル水溶液の温度を制御しながら実験を行う事とし、本システムのサンプルの温度依存性について検討することとする。さらに、当初の予定通り、温度で変化するフルクトース分子の異性体が水溶液で判別可能かどうかについても検討するとともに、他の食品関連物質等についても基礎実験を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
測定用サンプルや光学部品に要する消耗品費、学会発表の旅費や論文投稿料などを計上する。
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