研究課題
第一に、グルコース‐トリプトファン化合物の一種であり、ピクテースペングラ-反応によって生成されるPHP-THβCが、ニワトリ胚筋芽細胞の蛋白質合成に及ぼす影響を調査した。トリプトファンをグルコース溶液に溶解し、保温後にイオン交換樹脂を用いてPHP-THβCを回収した。トリプトファン欠乏培養液を対照区とし、処理区には添加物(トリプトファンまたはPHP-THβC)を段階的に培養液へ添加した。また培養液のIGF-I濃度は0および20 ng/mlの2レベルとした。筋芽細胞のタンパク質合成は標識フェニルアラニンを用いて測定した。その結果、トリプトファン添加は、細胞のタンパク質合成をIGF-I添加区において対照区の146%、IGF-I無添加区では対照区の136%まで促進した。一方、PHP-THβC添加によるタンパク質合成促進効果はIGF-I添加時に対照区の126%、無添加区では対照区の107%にとどまった。以上の結果から、トリプトファン欠乏状態における筋芽細胞では、PHP-THβCはタンパク質合成の前駆体となりえないことが示された。第二に、今までに生体内におけるグルコース‐トリプトファン化合物であるトリプトファンーアマドリ化合物およびPHP-THβCの濃度を測定した報告が見当たらない。そこで、トリプトファン過剰飼料をニワトリに給与し、血中におけるトリプトファンーアマドリ化合物とPHP-THβCの濃度測定を試みた。10日齢の単冠白色レグホン雄に、通常飼料およびトリプトファン過剰飼料を給与し、血清中のPHP-THβC濃度をLC/MSを用いて測定した。その結果、生理的な血中グルコース‐トリプトファンーアマドリ化合物濃度およびPHP-THβC濃度はそれぞれ約1.5 uM、3 uMであり、これは血中トリプトファンの約10%が糖化していることを示していた。
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Journal of Poultry Science
巻: 50 ページ: 138-142
巻: 49 ページ: 299-301