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2011 年度 実績報告書

野生動物に対して先天的な恐怖や誘引行動を誘発する匂い分子の開発理論

研究課題

研究課題/領域番号 23658229
研究機関公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所

研究代表者

小早川 令子  大阪バイオサイエンス研究所, 神経機能学部門, 室長 (40372411)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2012-03-31
キーワード嗅覚受容体 / 行動 / 進化
研究概要

私たちは、遺伝子操作の手法を駆使して、マウスの恐怖反応が特定の嗅覚神経回路によって先天的に誘発されることを世界に先駆けて証明した。続いて、自ら発見した嗅覚神経回路の活性に着目し、従来知られていた天敵臭に比較して遙かに高い活性で恐怖反応を誘発する匂い分子の発見に成功した。本研究ではマウスに先天的な恐怖情動を誘発する匂い分子のスクリーニングを行った。その結果、様々なレベルで先天的な恐怖情動を誘発する匂い分子レパートリーを開発した。ここで開発した先天的な恐怖応答を誘発する匂い分子を用いて、先天的と後天的な恐怖応答を区別して計測する恐怖情動マーカーの開発を進めた。
その結果、体表面温度、体深部温度、心拍数が先天的な恐怖反応において特異的に変化することが明らかになった。また、血液成分の中から先天的な恐怖反応において特異的に変動する恐怖マーカーを発見した。これらの生理応答マーカーや血液マーカーを用いることで、先天的な恐怖反応を後天的な恐怖反応と区別して計測することが可能になった。
続いて、マウスの嗅覚受容体の発現ライブラリーの構築を行い、先天的な恐怖情動を誘発する匂い分子に対する嗅覚受容体のスクリーニングを実施した。強力に先天的な恐怖反応を誘発する匂い分子に対して特異性の高い嗅覚受容体を複数同定した。これらの複数の嗅覚受容体の組み合わせによって恐怖応答が誘発されるのか、単一の受容体によって恐怖応答が誘発されるのかは明らかではない。そこで、先天的な恐怖応答を誘発する匂い分子と、それらの匂い分子に類似した化学構造を持つが恐怖応答を誘発しない匂い分子との嗅覚受容体との結合特異性の比較解析を行った。続いて、マウスに対して先天的な恐怖情動を誘発する匂い分子の他の生物への効果を解析した。その結果、シカなどの複数の動物に対してはマウスと同様の強い忌避効果が観察された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Elimination of adult-born neurons in the olfactory bulb is promoted during the postprandial period2011

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama T K, Mochimura D, Murata K, Manabe H, Kobayakawa K, Kobayakawa R, Sakano H, Mori K, and Yamaguchi M.
    • 雑誌名

      Neuron

      巻: Vol.71(5) ページ: 883-897

    • DOI

      DOI:10.1016/j.neuron.2011.05.046

    • 査読あり
  • [学会発表] 先天的と後天的な恐怖によって誘発される不動行動は異なる神経回路によって制御される2011

    • 著者名/発表者名
      小早川高、伊早坂智子、小早川令子
    • 学会等名
      第5回パーキンソン病・運動障害疾患コングレス
    • 発表場所
      品川プリンスホテル(東京都)(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-07
  • [学会発表] Neuronal mechanisms controlling innate and learned fear responses2011

    • 著者名/発表者名
      小早川高、伊早坂智子、小早川令子
    • 学会等名
      第34回日本神経科学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] 哺乳類の脳が多様な情動を生み出す神経メカニズム~猫が怖がらないネズミが教える心の仕組み~2011

    • 著者名/発表者名
      小早川令子
    • 学会等名
      第30回分子病理学研究会
    • 発表場所
      鷲羽山下電ホテル(岡山県)(招待講演)
    • 年月日
      2011-07-23
  • [学会発表] 神経回路の機能に基づいて哺乳類の本能情動を制御する機能性分子の開発2011

    • 著者名/発表者名
      小早川令子
    • 学会等名
      バイオファーマジャパン
    • 発表場所
      インテックス大阪(大阪府)(招待講演)
    • 年月日
      2011-07-13
  • [産業財産権] Carpt mRNA発現細胞標識胴部およびそれを用いたスクリーニング方法2012

    • 発明者名
      小早川高, 小早川令子
    • 権利者名
      (財)大阪バイオサイエンス研究所
    • 産業財産権番号
      特許、特願2012-011682
    • 出願年月日
      2012-01-24

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公開日: 2013-06-26  

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