研究概要 |
研究計画に従い、ザンビアの齧歯類動物中のアレナウイルスのスクリーニングを継続すると共に、先年度以前に分離できたザンビア野生動物由来のアレナウイルスの病原性の検討を行った。ザンビア国ルサカ、ナムワラ、ムプルングにおいて齧歯類動物を捕獲してアレナウイルスのスクリーニングを行い、それぞれ、ウイルスRNA陽性数と個体数について 0 / 6, 2 / 65, 7 / 73 という結果が得られた。全てのウイルスがマストミスから検出され、得られた塩基配列の解析の結果からLunaウイルスと同定できた。ムプルング株については4株が分離でき、全ゲノム解析を行った。本研究および先行研究(若手研究B:20780215)の期間5年間で検出されたムプルング(ザンビア北部)および、ルサカ(ザンビア中央部)、ナムワラ(ザンビア中央部)、リビングストン(ザンビア南部)の既知Lunaウイルス株間の塩基配列の比較から、ウイルスゲノムに地域特異的な遺伝型が有ることを明らかとした。また、同一地域のLunaウイルス株の解析から、自然宿主内での塩基配列の変異は少なくとも5年間、地域特異性を保存できる程度の頻度であることが明らかとした。次に、本研究で発見されたLunaウイルスおよび、Lunkウイルスの病原性を調べるため、分離ウイルスをマウスの腹腔内に投与したが、体重減少等のウイルス感染症の症状は現れず、既知の非病原性アレナウイルスと同様の性質であることが考えられた。
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