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2012 年度 実施状況報告書

レトロウイルス感染症に随伴して新たに発見された心筋異常の正体

研究課題

研究課題/領域番号 23658249
研究機関北海道大学

研究代表者

落合 謙爾  北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (80214162)

キーワードトリ白血病ウイルス / レトロウイルス / 心筋炎 / 心筋症 / 異型心筋線維 / 基質封入体 / グリオーマ
研究概要

トリのグリオーマ誘発ウイルス (FGV) はトリ白血病ウイルス A 亜群 (ALV-A) に属し,鶏の脳に神経膠腫,非化膿性脳炎,小脳低形成や神経周膜腫を誘発する。研究代表者はこれら罹患鶏に心筋異常を示す例を複数見出した。ヒトの特発性心筋症の発生にはヒトレトロウイルス感染症の関与が推察されているが,その詳細は明らかにされていない。本課題の目的は FGV 感染と心筋異常との因果関係の究明を通してレトロウイルスがもつ心筋細胞に対する病原性を検証することである。今年度得られた成績は以下の通りである。1. 免疫組織学的に野外例の心筋病変から ALV 抗原が検出された。2. PCR を用いて野外例4羽から七面鳥に心筋炎を起こすことが知られるトリレオウイルス特異配列の検出を試みたが,いずれからも検出されなかった。3. 最も重度の心筋病変を示した例から分離された ALV, Km_5892 のウイルスゲノムを解析した結果,本ウイルスは FGV 特異配列を持ち,envSU は FGV のそれと比較して82%の相同性を示す一方,pol は内在性レトロウイルス ev-1 と高い相同性(97%)を示した。この成績から,Km_5892 は ev-1 と FGV に由来する組換えウイルスであると推察された。4. Km_5892 と Km_5666 を用いて感染実験を行った結果,両者とも高頻度に非化膿性心筋炎を誘発し,さらに Km_5666 感染鶏の約1割に異型心筋の塊状増殖が誘発された。以上の成績から,ALV は異型心筋線維を誘発することが実験的に明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに ALV によって非化膿性心筋炎が誘発されることは報告されているが,心筋線維の肥大や成熟後再生能が失われる心筋線維に有糸分裂像が発生することは明らかにされていなかった。今年度得られた成績により,実験的にALVが心筋異常を誘発することが証明された。以上の成績から,順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後は異常心筋の病変性状とALV の分子生物学的特徴をより詳細に解析するとともに,感染実験成績の再現性を検証し,心筋異常の動物モデル化の可能性を検討する。

次年度の研究費の使用計画

上記計画のため,本課題では研究費を主に実験動物および試薬の購入などに充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] ev-1由来神経膠腫誘発トリレトロウイルスの病原性と感染状況

    • 著者名/発表者名
      阿部あすみ, 他 5 名
    • 学会等名
      第155回日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      東京大学(駒場)
  • [備考] レトロウイルス性グリオーマの病態解析とその制圧

    • URL

      http://www.vetmed.hokudai.ac.jp/organization/comp-pathol/daimoku-gli1.html

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公開日: 2014-07-24  

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