研究課題/領域番号 |
23658252
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀本 泰介 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (00222282)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ウイルス / 獣医学 |
研究概要 |
宮崎県の口蹄疫ではウイルスの侵入経路と拡大様式が不明であり、科学的な防疫対策の確立までは至っておらず、今後再び日本で口蹄疫が発生する危険性がある。一方、感染の拡大には何らかの野生動物が関与する可能性があり、特にシカやイノシシなど偶蹄類の野生動物に対するウイルス感受性のデータは、今後の防疫対策に欠かせない知見となる。しかし、感染実験など感染性ウイルスを扱う全ての実験には動物衛生研究所の高度封じ込め施設が必要であり、それが口蹄疫研究進展の大きな障害となっている。本研究では、非感染性の口蹄疫代替サロゲートウイルスを構築し、口蹄疫ウイルスの野生動物に対する感受性評価を目的とする。その成果は、口蹄疫研究のブレイクスルーになるとともに、防疫対策の構築に大いに貢献するものと期待される。 本年度はわが国在来の野生動物であるイノシシとニホンジカの臓器(筋肉)を入手し、口蹄疫ウイルスの細胞レセプターとして機能するという報告のあるインテグリンファミリーのいくつかの遺伝子の同定を試みたが、臓器から抽出したmRNAをテンプレートにRT-PCRを実施したが目的遺伝子の増幅は認められなかった。すでに報告のあるインテグリン共通プライマーの不適合、あるいは入手臓器におけるインテグリン遺伝子の非発現が考えられた。また、分子進化学上、口蹄疫ウイルスに最も近縁であるウシライノウイルス2型を入手し、培養細胞での増殖条件を検討した。それにより、今後の研究に必要な種ウイルスを調整した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
野生動物の臓器の入手に時間を要した。様々な条件でRT-PCRを実施したが目的遺伝子は増幅しなかった。ウシライノウイルス2型の培養細胞への感受性が低いため、培養条件の検討に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
ハイリスク型の研究であるため、全ての実験計画を慎重に進める必要がある。野生動物のインテグリンファミリーの同定には、より状態の良い臓器サンプルを入手が必須であり、かつRT-PCR条件検討を継続していく予定である。 培養に成功したウシライノウイルス2型の遺伝子クローニングを開始する予定である。全長のクローニングには困難が予想されるため、各遺伝子のクローニングも同時並行で進めて行く予定である。クローニングに成功した遺伝子は発現ベクターにサブクローニングしタンパク質発現、抗体作製をする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の大部分は研究の実施に必要な消耗品費、および抗体作製に必要な実験動物購入、飼育費用に充てる予定である。研究の進展に伴い、成果発表のための学会参加費用にも一部を使用する計画である。
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