研究課題/領域番号 |
23658253
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
遠藤 秀紀 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30249908)
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研究分担者 |
鯉江 洋 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (20267040)
大石 元治 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 助教 (40549557)
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キーワード | 左右対称性 / 脊椎動物 / 比較解剖学 / 画像解析 / 適応進化 / 遺体 / 動物園 / 三次元 |
研究概要 |
研究代表者遠藤は研究成果の統括を進めた。また協力者花木は代表者とともに遺体収集ユニットを構成し、三次元入力環境を整備しつつ、実際の遺体収集活動を進めた。デジタル三次元情報は、最適なDICOMフォーマットを出発点に、ポリゴン情報も含むいくつかの標準化汎用データファイルの蓄積体制を構築し、基盤の形成を達成した。分担者鯉江は協力者小宮とともに三次元解析ツール開発ユニットを機能させた。分担者鯉江は臨床現場での画像情報収集の実績をもとに、家畜や動物園動物の死体の三次元情報解析のためのシステムを運用することに成功した。集積される大量の位置ベクトルの集合体を解析に用い、矢状面に対して動物の形状がいかに左右非対称的に変異するかを定量的に解析する体制を整備し、処理情報精度は高くないものの、一定の進捗を実現した。遺体の軟部構造についても良質の三次元情報を得、解析に用いることができた。他方分担者大石は協力者外平とともに、非対称性体制情報蓄積ユニットとして研究を遂行した。このユニットでは、動物園に由来する遺体から、左右非対称性を網羅的に抽出し、デジタルライブラリーとしての保管を進めつつある。大石と外平は、遺体収集ユニットがもたらす遺体現物から三次元空間観察に使いやすい形でデジタル情報を変換し、集積することができた。とくに大石は類人猿の左右性に関する精緻なデータを得ることに成功した。代表者遠藤と分担者鯉江は情報理論構築ユニットを構成した。同ユニットは、三次元解析ツール開発ユニットが生みだした機能性の高い解析システムを、他のユニットがもたらす遺体や標本に適用し、その結果見出されてきた非対称性の実態から進化理論の構築を進めることができた。左右対称性は多くの場合、その種や系統の適応的機能に密接であることが明らかとなり、個々の具体的事例研究を基盤的に進める素地を獲得することができた。
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