研究課題
犬の歯周病について、本年度の研究では、以下の3点について検討した。1)犬の歯周病と年齢の関連:176頭の犬を年齢より若齢(2歳未満)、壮齢(2~7歳)、老齢(8歳以上)に分け、11種の歯周病原性細菌の検出頻度と歯周状態について調べた。若齢の犬では歯周病は認められなかったが、壮齢および老齢の犬では歯周炎および歯肉炎の頻度は高かった。さらに壮齢および老齢の犬では若齢の犬に比べ、検出される歯周病原性細菌の種類の総数が有意に多かった。以上の成績から犬の年齢は歯周病原性細菌の分布並びに歯周状態と強く関連することが示された。これらの成績は獣医系学術誌に投稿され、掲載された。2)犬の歯周病と全身疾患の関連:飼い主115家族158人と犬135匹とを対象として検討したところ、ヒトにおける主要な歯周病原性細菌10菌種のうち9菌種が犬からも検出。また、犬に特異的に存在するとされるP. gulaeが 16人(10.1%)の飼い主から検出された。さらに、T.denticolaの検出率はヒトでは3.2%、犬では8.8%であった。また、P.intermediaの検出率はヒトでは5.6%、犬では8.8%であった。犬に特異的であるとされる P. gulae が約10%の飼い主から検出されたことから、犬と飼い主との間での歯周病原性細菌の伝播が疑われた。本成績は歯学系学会で発表された。3)犬における歯周病と全身疾患の関連:我々は、犬口腔内より分離されたP. gulaeの線毛fimA遺伝子型に複数の型別が存在することを見出し、A型、B型、C型と命名した。今回、P. gulaeの線毛fimA遺伝子型と全身疾患の相関を調べたところ、P. gulaeのC型とある種の循環器疾患との相関が見出された。本成績については特許出願と投稿論文を準備中である。
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J Vet Med Sci
巻: 74 ページ: 999-1001