ハマキコウラコマユバチは茶樹の害虫であるチャノコカクモンハマキの卵-幼虫寄生蜂である。ここでは、本種が寄主卵塊を発見するため寄主の生息場所であるチャの木を探索する際の手がかりについて研究を行っている。その一つとして、寄主卵塊がチャ葉の葉裏に産み付けられ、その結果化学的誘導が引き起こされ、葉表の表面に対してハマキコウラコマユバチ雌成虫が反応し、長い時間探索行動を行うことが確かめられた。チャ葉の若さ(葉が展開してからの時間)によってこの誘導現象が変化するかどうかについて調べる基礎実験として、ケージ内でチャの鉢植えを準備して交尾済みのチャノコカクモンハマキ雌成虫を放した。その結果、ハマキガはほとんどの卵塊を古い葉に産み付けることがわかった。若い葉に強制的に産ませた場合に誘導が起きるかどうかは今後の課題である。また、古い葉に多くの卵塊を産み付けるのは、誘引物質か葉の表面物質によるものか、あるいは若い葉から出る忌避的なにおいか表面物質かの検討も今後行っていく予定である。予備的に行った古い葉と若い葉のにおいの選択実験からは、古い葉のにおいが存在している場所に置いたパラフィン紙に多くの産卵が見られることから、古い葉から出される揮発性のにおい成分がハマキガ雌成虫を誘引しているか、または若い葉から出される忌避的なにおいでハマキガが古い葉の周辺に移動して産卵している可能性があり、これらの可能性についても今後検討する予定である。
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