研究概要 |
まず、先行研究、公開されている気象データを基に、黄砂の飛来・通過経路データ、通過地点上空の大気汚染に由来して黄砂粒子が通過時に曝露されると考えられる微環境データの収集・解析を行った。 次に、丸型フラスコに黄砂と粒径、物性が類似したモデル微粒砂を入れ、これを攪拌子で撹拌することによりフラスコ内を浮遊させ、真空ポンプ、冷凍庫で気圧、温度を調節し、都市上空、海上など黄砂の移動経路上で黄砂粒子が曝露される塩水分、大気汚染物質を適時に注入することで黄砂飛来時の微環境を実験室内で再現する系の確立を試み、投入する砂サンプルの量、撹拌子の形状・大きさ、撹拌速度に関する条件検討を行った。黄砂粒子周辺の微環境、特に弱酸、弱塩基による緩衝作用の評価法の確立については、蛍光pHインディケーターを用いた粒子単位での測定、砂サンプルをごく少量の水で洗い流した水溶液を用いた測定法等の条件検討を行ったが、検出感度の面で本研究遂行上の要件を満たす結果が得られていない。今後、別種のpH,イオン強度蛍光インディケーターを用いた測定精度の向上を進める予定である。 本研究期間において、最終的な段階であるモデル微生物、ウィルスの上記装置への投入・黄砂飛来時の状況の微環境下における生存(感染性、生物活性の保持)の検証を行うことが出来なかったが、今後継続して上記条件検討を進め、コントロールとしてのモデル微生物・ウィルスの生存の検証および黄砂が発生する大陸で採取した土壌サンプルのフラスコ内の「飛来」実験後の生物活性の検証を行う予定である。
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