研究課題/領域番号 |
23658286
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
朴 龍洙 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (90238246)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | バイオテクノロジー / 糖鎖 / タンパク質 / 昆虫 / 遺伝子 |
研究概要 |
カイコのパウチマンノース型糖鎖合成は、GlcNAcMan3GlcNAc2からα1,6-fucosyltransferase(α6FucT)によるフコースの付加経路が考えられる。しかし昆虫細胞では数種類のN-acetylglucosaminidase(GlcNAse)による影響が予測され、GlcNAseの干渉を1年目行うような計画変更を行った。siRNAの配列選択にはsiRNA Target Finderを利用し、PCRで増幅、siRNAカセットを作製し、大腸菌DH5αに形質転換を行った後、Bac to BacシステムによりBmNPVバクミドを完成した。バクミドDNAを用いてカイコに注射し、5日間飼育後カイコ脂肪体を回収し、GlcNAseの活性を測定した。その結果、カイコにおいてはRNAi導入しなかった場合に比べ殆ど活性の差がなかった。これは数種類のGlcNAseの存在でお互いに活性を補っていることを示唆する。そこで、GlcNAseIとIIを昆虫細胞で干渉を行ったところ、それぞれ20%程度化成の低下が確認できた。この結果は,今後GlcNAseのダブル干渉を行う必要があることを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、GlcNAcMan3GlcNAc2からα1,6-fucosyltransferase(α6FucT)によるフコースの付加経路が考えられるα3FucT干渉を計画したが、数種類のN-acetylglucosaminidase(GlcNAse)による影響が予測され、GlcNAseの干渉を1年目行うような計画変更を行ったことで、研究が少々遅れた。しかし、次年度からは構築したRNAiシステムを使用できるので、計画通りに進展できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
カイコでバイセクティングN-GlcNAc構造を持つ糖鎖の合成系を確立するために、N-acetylglucosaminidase(GlcNAse)IとIIのダブル干渉を行う。1)GlcNAcβ1-4Man β1-4結合を触媒するβ1,4N-acetylglucosaminyltransfersae(β4GnT III)をカイコに導入し、バイセクティングN-GlcNAcMan3GlcNAc2の合成系を強化する。2)二つの遺伝子及びhβ3GnTバクミドを共発現の方法でカイコに導入し、hβ3GnTの発現を行い、酵素活性、hβ3GnTの精製、及び糖鎖を解析し、糖鎖のパターンを調べる。hβ3GnTの発現には、ポリへドリンプロモーターを用いるが、β2GnT Iやβ4GnT IIIについては、恒常的に発現するアクチンプロモーターを用いる
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次年度の研究費の使用計画 |
50万以上の機器の購入は必要なく、研究に必要な消耗品を計画的に執行する予定である。
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