研究概要 |
前年度の結果、合成siRNAやdsRNAヘアピンを導入し、β N-acetyl D-glucosaminidase(GlcNAcase)の活性をそれぞれ30%と60%抑制することが出来た。しかし、IgGと共発現を行いIgGへの糖鎖の修飾を確認したところ、N-acetylyglucosaminidase(NAG)の付与は確認できなかった。そこで、今年度はdsRNA(ヘアピン型dsRNA)をそれぞれ昆虫に特異的なactin、IE2、U6-2の下流に挿入したBmNPVバクミドを構築し、RNAiを誘導し、発現したタンパク質のGlcNAcase活性を測定したところ、Bm5細胞ではコントロールと比較してU6-2プロモーターが最大61%、カイコではIE-2プロモーターが最大42%のGlcNAcase活性の低下を確認した。さらに、得られたIgGをペプシン、グリコアミラーゼA処理によりタンパク質から糖鎖を遊離させ、HPLCで分離し、MALDI-TOF-MSにより質量分析で糖鎖構造を同定した。その結果、パウチマンノース型が70~80%を占め、NAGの付加は確認できなかった。 本結果を踏まえて、NAG付加の確率を高める目的でヒト由来糖転移酵素であるβ-1,2-N-acetylglucosaminytransferaseII(hβ2GnTII) またはβ-1,4-galactosyltransferaseI(hβ4GalTI)遺伝子をカイコで過剰発現させIgG発現を行った結果、hβ2GnTIIを発現した場合、N型糖鎖の還元末端N-アセチルグルコサミンの付加が認識られ、今後N型糖鎖解析を行う予定である。
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