研究課題/領域番号 |
23658289
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
増田 誠司 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (20260614)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 次世代シークエンサ / RNA / 品質管理 |
研究概要 |
タンパク質の分解が主としてプロテアソームによって行われているように、mRNAの分解(品質管理)は主としてエキソソームが担当している。しかしmRNAの様々なプロセシングが行われる細胞核での品質管理については未解明の部分が多く残されている。本研究は、核内におけるmRNA品質管理に関わる因子の作用機序を明らかにするために、次世代シーケンサーを用いた細胞核mRNA動態の網羅的解析を行う。加えてコンベンショナルな方法によりその重要性を提示する。これらの解析により核内のmRNA品質管理の分子機構を解明する基盤を構築する。 エキソソームの構成因子の一つRrp45とhMtr4、をそれぞれノックダウンしたヒト細胞からpolyA RNAをオリゴdTを用いて精製し、その内容を次世代シーケンサーによって網羅的に解析した。読まれた全シーケンスをゲノム上にマッピングし、各領域由来の転写物の存在比の変化をコントロール細胞由来の解析結果と比較した。 次いでコンベンショナルな方法によるヒトTRAMP(PAPD5-ZCCHC7-Mtr4)複合体の同定と局在の解析を行った。エキソソームやMtr4は、核質に局在していることを観察していた。またPAPD5、Trf4は、いずれも核内であることを確認した。さらにヒトTRAMP(PAPD5-ZCCHC7-Mtr4)複合体の候補因子が細胞内で相互作用しているかについて免疫沈降実験により確認した。これらの結果は、申請者が当初想定していた結果となっている。よって研究は順調に進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エキソソームの構成因子の一つRrp45とhMtr4、をそれぞれノックダウンしたヒト細胞のpolyA RNAを次世代シーケンサーによって網羅的に解析し、蓄積しているRNA種のデータを解析した。予定通りに進行している。またヒトTRAMP(PAPD5-ZCCHC7-Mtr4)複合体候補因子がお互いに相互作用していることを確認した。これについても予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
1.標的RNA分子の同定と作用点の解明―次世代シーケンサーによる解析で抽出された標的mRNA候補と作用点について、個別にノザンブロットやリアルタイムPCRなどの手法を用いてその妥当性を検証する。2.ヒトTRAMP(PAPD5-ZCCHC7-Mtr4)複合体の活性測定―核内のmRNA品質管理をうけるmRNAは、短いポリAの付加をTRAMP複合体によって受ける。これら3者を大腸菌で発現し精製した標品、32Pで標識したオリゴAとATPを用いてポリAの付加活性を観察する。3.ヒトTRAMP(PAPD5-ZCCHC7-Mtr4)複合体の同定―免疫沈降により取得した複合体を、電気泳動で分離し、その全構成因子を質量分析により同定することで新たな因子の発見に努める。新規因子が見つかれば、上記と同様の解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画に大きな変更点はなく、主たる経費は物品費である。この他に旅費、人件費等を計上している。ただし物品費の中では、当初予定にはなかったが、タンパク質精製に使用する冷却遠心機の購入を検討している。冷却遠心機の購入によって今後の推進方策2と3を速やかに進展させることが出来る。
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