研究課題
タンパク質の分解が主としてプロテアソームによって行われているように、mRNAの分解(品質管理)は主としてエキソソームが担当している。しかしmRNAの様々なプロセシングが行われる細胞核での品質管理については未解明の部分が多く残されている。本研究は、核内におけるmRNA品質管理に関わる因子の作用機序を明らかにするために、次世代シーケンサーを用いた細胞核mRNA動態の網羅的解析を行う。加えてコンベンショナルな方法によりその重要性を提示する。これらの解析により核内のmRNA品質管理の分子機構を解明する基盤を構築する。エキソソームの構成因子の一つRrp45とhMtr4、をそれぞれノックダウンしたヒト細胞からpolyA RNAをオリゴdTを用いて精製し、その内容を次世代シーケンサーによって網羅的に解析した。読まれた全シーケンスをゲノム上にマッピングし、各領域由来の転写物の存在比の変化をコントロール細胞由来の解析結果と比較した。Rrp45とhMtr4によって顕著に発現の上昇する遺伝子を特定した。リアルタイムPCRによる検出を目指してプライマーセットを作成した。次いでコンベンショナルな方法によるヒトTRAMP(PAPD5-ZCCHC7-Mtr4)複合体の同定と局在の解析を行った。エキソソームやMtr4 は、核質に局在していることを観察していた。またPAPD5、Trf4は、いずれも核内であることを確認した。さらにヒトTRAMP(PAPD5- ZCCHC7-Mtr4)複合体の候補因子が細胞内で相互作用していることを免疫沈降実験により確認した。これに加えPABPN1も弱いながら相互作用していることを見いだしている。
すべて 2012
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Biosci. Biotechnol. Biochem.
巻: 76 ページ: 1248-1251
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bbb/76/6/76_120226/_article
バイオサイエンスとインダストリー
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