研究課題/領域番号 |
23659003
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩渕 好治 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20211766)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | オキソアンモニウム塩 / アザアダマンタン / AZADO / アルコール酸化 / 不斉酸化 / ニトロキシルラジカル / 分子認識 / 不斉酸化 |
研究概要 |
本研究は、先に当研究室で偶然見出した萌芽シーズ:AZADO型オキソアンモニウム塩のアルケンへの求電子的付加反応の適用性を明らかとし、その精密合成化学的活用性の拡張を目指すものである。 2年計画の初年度にあたる本年度は、アザアダマンタン型オキソアンモニウム塩の化学的特性とレドックス特性に関する知見を実験的に求め、他の有機オキソアンモニウム塩類との相違点の明確化を期して検討を行った。種々検討の結果、新たに合成した9-nor-azaadamantane N-oxyl (Nor-AZADO)がAZADOを凌駕する反応性を示すオキソアンモニウム型酸化活性種の前駆体となることを見出した。すなわち、Nor-AZADOは、アルコール空気酸化反応(1 atm Air /cat. NaNO2/AcOH)において最も高い触媒回転率を記録した一方、アルケンとの反応においても良好な収率で求電子付加体を与えることを確認した。さらにアルケン付加における基質適用性を検討する途上で、環状シリルエノールエーテルが速やかに付加反応を起こして、良好な収率でα,β-不飽和ケトンが生成することを見出した。また鎖状シリルエノールエーテルを基質とする反応では触媒的に1,2-ジケトンを与える条件を確立し、その触媒反応化にも成功した。何れの反応においても、オキソアンモニウムイオンの対イオンとしてBF4-が最良の結果を与えることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
萌芽シーズとして設定していたAZADOよりも遙かに高い求電子反応性を示すNor-AZADOを見出すことができた。これにより、当初予想していた以上の研究成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、Nor-AZADOに潜在する合成化学的機能性の開発を目指して探索研究を継続する。加えて、光学活性Nor-AZADOを合成して、不斉反応への展開を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
光学活性触媒の合成とその反応性について検討を行うため、研究費は有機薬品、無機薬品、ガラス器具等の消耗品の購入に充てる予定である。
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