研究課題/領域番号 |
23659013
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
椿 一典 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (50303897)
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研究分担者 |
倉持 幸司 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (90408708)
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キーワード | カスケード反応 / 転位反応 / 天然物合成 / ゼイラノン / デンドロクリサネン / ブレスピロール |
研究概要 |
セレンディピティーで見出した三種類の新奇反応の反応機構の解明と、これらの反応を鍵反応とした天然物の合成を目標としている。 昨年度に臭化ナフトキノンを出発物とした異常二量化反応のうち、一種類については、反応機構を明らかとし、論文発表を行った。 今年度は臭化ナフトキノンを出発物質としたもう一つの異常反応である、連続マイケル反応を鍵反応とした天然物ゼイラノンの全合成を達成した。ゼイラノンの相対立体配置を類縁体のx線構造解析により明らかとした。さらにテトラフェニルポルフィリン導入体を用いた励起子キラリティー法により、ゼイラノンの絶対立体構造を決定した。これらの内容については、論文発表を行った。 またビアリール骨格からスピロ骨格への芳香環の崩壊を伴う転位反応を鍵とするデンドロクリサネンとブレスピロールの全合成についても研究が進展した。デンドロクリサネンについては、二ヶ所のメトキシ基が欠けた類縁体の合成に成功した。メトキシ基を導入した化合物では転位反応がうまく進行せず、別ルートでの合成を目指している。ブレスピロールの全合成では、転位前駆体(フェナントレン-ナフタレン中間体)までは合成することが出来た。この基質を転位反応に付すと、目的物とは異なり、フェナントレン環側が崩壊し、転位したスピロ化合物が得られてきた。現在は芳香環上の置換基を変換し、電子密度を制御する事で、転位の方向を制御する検討を行っている。
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