研究概要 |
チオウレアは5 mol % の酢酸パラジウム、3当量のトリエチルシラン、1.2当量のTMSOTfで対応するイミダゾリニウムトリフラート塩に高収率で変換できることを見出した。本手法は、これまで合成困難であったイミダゾリニウム塩の合成を可能にしている。C2対称性を持つ含NHC新規不斉ピンサー型配位子と類似の構造を有する、カルバゾールの1,8-位にキラルオキサゾリンを持つ配位子の鉄錯体が不斉エポキシ化触媒となることを見出した。トランス-p-クロロスチルベンのエポキシ化では収率60%、92% eeを記録した。C2対称性を持つ含NHC新規不斉ピンサー型配位子の合成を目標とし、N上に含窒素複素環を有するアキラルなNHC配位子の合成を検討した。N-(2-(2-(pyridin-2-yl)phenylamino)ethyl)-2-(pyridin-2-yl)benzenamineをNHC配位子前駆体であるイミダゾリニウム塩へ変換することを試みたが、定法では目的物は得られなかった。しかし、溶媒として1,1,1,3,3,3-hexafluoro-2-propanolを用いるとイミダゾリニウム塩が79% (BF4 salt)、73% (Cl salt)で得られることを見出した。得られたイミダゾリニウム塩は分解しやすく、目的のNHC-金属錯体は得られなかった。(R, R)-1,2-cyclohazanediamineから(1R,2R)-N1,N2-bis(2-(pyridin-2-yloxy)phenyl)cyclohexane-1,2-diamineを合成し、イミダゾリニウム塩の合成を検討したところ、所望のNHC配位子前駆体を59% (BF4 salt)、73% (Cl salt)で合成することに成功した。しかし、得られたイミダゾリニウム塩は不安定で、目的のNHC-金属錯体は得られなかった。
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