研究課題
われわれは、様々なストレスに対して鋭敏に応答して活性化するp38に注目し、その活性化状態を生きた線虫の個体において可視化できる系を構築し、p38の活性化に必要なシグナル分子群を、ゲノムワイドスクリーニングにより同定してきた。線虫における全遺伝子の86%に相当する16,757クローンのスクリーニングを行った結果、55の候補因子を単離した。脂質代謝酵素Xはこのスクリーニングで単離された候補因子の一つである。線虫における脂質代謝酵素Xの機能を主にスクリーニングに用いたレポーターを指標として解析した。指標はレポーター線虫の蛍光強度(線虫p38活性依存的に転写誘導される遺伝子のプロモーター下流にGFPをもつ)を用いた。線虫における脂質代謝酵素Xの欠失変異体は機能解析において必須であるが、これまでに酵素ドメインを欠失する変異体は単離されていないため、紫外線とテトラメチルスルホン酸を組み合わせたUV/TMP法を用いることで、欠失変異体を単離した。単離した欠失変異体に関しては、表現型に関する情報を収集した。表現型に関しては、線虫p38欠失変異体と共通する表現型、これまでに報告されている神経細胞の分化、自然免疫応答、酸化ストレス応答などを中心とした解析を行った。また、われわれはすでに線虫のNSY-1–PMK-1経路(哺乳類でのASK1–p38経路に相当する)を構成する分子の各種変異体を所有していたため、それらの変異体との遺伝学的相互関係を調べることで、既知のp38活性化経路との相対的な関係について解析を行った結果、XがNSY-1の上流活性化因子であることを明らかにした。今後は哺乳動物におけるシグナルの保存性ならびに機能の解析が重要と考えられる。
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