研究課題/領域番号 |
23659040
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
土井 健史 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00211409)
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研究分担者 |
岡田 欣晃 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (50444500)
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キーワード | 組織特異的遺伝子発現 / Robo4遺伝子 / 血管内皮細胞 / DNAメチル化 / SP1 / GABP |
研究概要 |
我々は組織特異的に遺伝子が発現するメカニズムの解明を目的とし、血管内皮細胞特異的に発現するRobo4遺伝子の発現制御メカニズムの解析を行っている。これまでに、Robo4プロモーターの転写開始点付近11個のCpG配列が非内皮細胞で特異的に高度にDNAメチル化されること、また、このDNAメチル化が非内皮細胞特異的にRobo4遺伝子発現を抑制することを明らかにした。そこで今回、非内皮細胞におけるRobo4遺伝子の発現抑制がDNAメチル化によってのみ行われているかを解析するために、プロモーターの転写開始点付近のCpG配列に変異を導入したメチル化を受けない変異型プロモーターを作製し、その組織特異性を遺伝子改変マウスを用いて解析した。その結果、変異型プロモーターは野生型プロモーターと同様に内皮細胞特異性を有していたことから、非内皮細胞におけるRobo4遺伝子発現抑制にはDNAメチル化以外の機構も関与することが明らかになった。また、非内皮細胞であるHEK293細胞にDNA脱メチル化促進剤(5-AC)と、プロモーターを活性化する転写因子であるSP1、GABPを強制発現するためのアデノウイルスを処理する実験を行った。その結果、5-AC未処理の細胞ではSP1、GABPの発現はRobo4遺伝子発現にほとんど影響を与えなかったが、5-AC処理細胞においては、SP1、GABPの発現はRobo4 遺伝子発現を顕著に上昇させた。この結果から、Robo4遺伝子の組織特異的な発現は、プロモーターの転写開始点付近の脱メチル化と、転写活性化因子の発現の両条件を満たした時にはじめて生み出されることが明らかになった。
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