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2012 年度 研究成果報告書

アポトーシス細胞の貪食における受容体キナーゼの役割解明

研究課題

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研究課題/領域番号 23659043
研究種目

挑戦的萌芽研究

配分区分基金
研究分野 生物系薬学
研究機関九州大学

研究代表者

黒瀬 等  九州大学, 薬学研究院, 教授 (10183039)

研究期間 (年度) 2011 – 2012
キーワードG タンパク質共役型受容体キナーゼ / 細胞内シグナル伝達 / アポトーシス / 自己免疫疾患 / 貪食 / マクロファージ
研究概要

生体内ではアポトーシスを起こした細胞は、マクロファージなどの貪食細胞によって速やかに除去されている。この過程が損なわれると、アポトーシス細胞は後期ネクローシスに移行し、自己の成分を漏出させる。これが自己抗体の出現や炎症などを引き起こし、生体内の恒常性の破綻につながる。これまでの報告から、アポトーシス細胞の消去を行う貪食経路として 3 種(Abl/ Abi、ELMO/ DOCK180 および ABC/ MFGF10/ GULP/ dynamin シグナル経路)が明らかにされている。本研究では、G タンパク質共役型受容体(GPCR)の活性調節を行うとのみ考えられてきたリン酸化酵素6(GPCR キナーゼ:GRK6)が、これまでとは異なった経路で貪食を仲介していることを明らかにした。 GRK6 は、GIT と Ezrin/Radixin/Moesin (ERM)と結合することで、最終的に Rac1 を活性化し貪食を促進させていた。GRK6 を介した貪食は内在性のマクロファージでも観察され、GRK6 をノックアウトさせたマウス(GRK6-KO マウス)は自己免疫疾患の一つ全身性エリテマトーデス様の症状(抗二本鎖 DNA 抗体の発現と免疫複合体の腎臓への蓄積)を示した。また、GRK6-KO マウスの脾臓を調べたところ、アポトーシスを起こした B 細胞を貪食する白脾髄では、マクロファージによって貪食されずに残っているアポトーシス細胞の数が野生型に比べて多く観察された。一方、老廃赤血球を処理する赤脾髄では、赤血球が処理されないために鉄の蓄積が増加していた。これらの結果は、GRK6 がアポトーシス細胞の貪食を仲介する新たな分子であり、機能の低下は自己免疫疾患の発症や赤血球のリサイクリングに影響を与えることを示している。本研究は、これまで GPCR の活性調節を行うのみと考えられていた GRKの生体内での新たな役割を明らかにした。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] GRK6-deficiency in mice causes autoimmune disease due to impaired apoptotic cell clearance2013

    • 著者名/発表者名
      Nakaya M, Tajima M, Kosako H, Nakaya N, Hashimoto A, Watari K, Nishihara H, Ohba M, Komiya S, TaniN, Nishida M, Taniguchi H, Sato Y, Matsumoto M, Tsuda M, Kuroda M, Inoue K, Kurose H
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 4 ページ: 1532

    • DOI

      DOI:10.1038/ncomms2540.

  • [雑誌論文] Induction of cardiac fibrosis by ・-blocker in G protein-independent and GRK5/・-arrestin2-dependent signaling pathways2012

    • 著者名/発表者名
      Nakaya M, Chikura S, Watari K, Mizuno N, Mochinaga K, Mangmool S, Koyanagi S, Ohdo S, Sato Y, Ide T, Nishida M, Kurose H
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 287 (42) ページ: 35669-35677

    • DOI

      DOI:10.1074/jbc.M112.357871.

  • [学会発表] G タンパク質共役型受容体の G タンパク質依存性と非依存性の細胞応答(シンポジウム 55「心臓・循環生理の新たな調節機構-三量体G 蛋白質シグナルの新コンセプト-」)2013

    • 著者名/発表者名
      黒瀬等
    • 学会等名
      第90回日本生理学会大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀
    • 年月日
      2013-03-29
  • [学会発表] G タンパク質共役型受容体の活性を調節する分子群の疾患での役割 シンポジウム2S-04「G蛋白質共役型受容体(GPCR)およびGPCRキナーゼの機能不全によって引き起こされる疾患」2012

    • 著者名/発表者名
      黒瀬等、仲矢道雄
    • 学会等名
      第85回資本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2012-12-15
  • [備考]

    • URL

      http://chudoku.phar.kyushu-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2014-09-25   更新日: 2015-11-26  

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