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2012 年度 実施状況報告書

マスト細胞による免疫抑制の分子機構の探索

研究課題

研究課題/領域番号 23659044
研究機関熊本大学

研究代表者

杉本 幸彦  熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (80243038)

キーワードマスト細胞 / 免疫抑制 / 制御性T細胞 / リンパ節 / 可視化マウス / 遺伝子発現プロファイル / 皮膚炎 / アトピー
研究概要

マスト細胞(MC)は、アレルギーや自己免疫の中心的な役割を果たすが、近年、紫外線(UV)照射による免疫抑制にも必須の役割を果たすことが示された。UV照射による免疫抑制は、MC欠損マウスでは見られず、MC再構成により回復する。さらに、UV照射はMCのリンパ節
移行を引き起こし、この移行を阻害すると免疫抑制が消失する。これは、UV照射により移行したMCが、リンパ節で全身性の免疫抑制を引き起こすことを示唆する。しかし、リンパ節へ移行したMCがどのような分子機構で免疫抑制を引き起こすのかについては全く不明である。本研究では、申請者のもつ超微量RNA増幅技術とMC可視化マウスを組み合わせることで、リンパ節へ移行したMCを同定し、発現プロファイル解析によりMC機能の変化を明らかにする。本研究の目的は、リンパ節へ移行したMCがいかなる遺伝子発現プロファイル変動を示すのかを捉えることで、MCによる免疫抑制に働く分子を探索・同定することである。
今年度は、連携研究者の椛島ら(京大・医)とともに、1)本研究計画の基盤となる結果の再現性検証と2)強力な免疫制御能をもつγδT細胞を例として皮膚からリンパ節へ移行した細胞のアレイ解析を予定していた。しかしながら、1)再現性検証については「UV照射による免疫抑制は、MC欠損マウスでは見られず、MC再構成により回復する」ような実験条件の探索は困難であり、「免疫抑制がMC欠損マウスで消失する」ことが再現できなかった。一方、2)に関しては、基礎検討を順調に行うことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初目的としていたマスト細胞による免疫抑制機能を調べる実験系は再現できなかったが、炎症等の刺激に応じて皮膚局所からリンパ節へ移行したγδT細胞がどのようなプロファイルをもつのかは不明であるため、これを明らかとする。具体的には、炎症刺激依存的にリンパ節に移行したαβおよびγδ CD4+T細胞と、スタティックな条件でリンパ節内にいるαβおよびγδ CD4+T細胞の遺伝子発現プロファイルを比較し、興味深い知見がえられた。

今後の研究の推進方策

当初目的としていたマスト細胞による免疫抑制機能を調べる実験系は再現できなかったが、炎症等の刺激に応じて局所からリンパ節へ移行したγδT細胞がどのような免疫制御を行うのかは不明であるため、これを明らかとする。具体的には、炎症刺激依存的にリンパ節に移行したαβおよびγδCD4+T細胞と、スタティックな条件でリンパ節内にいる両CD4+T細胞の遺伝子発現プロファイルが得られ、興味深い遺伝子の動きをとらえたので、免疫抑制におけるγδT細胞の役割を調べる。

次年度の研究費の使用計画

1)マイクロアレイ解析により、皮膚由来γδCD4+T細胞に特定のケモカイン群が特異的に発現誘導されることを同定したので、RT-PCRおよびFACS解析によりその検証を行う。
2)このケモカインのリガンドあるいは機能阻害抗体を用いて、γδの遊走促進および阻害の効果を調べ、γδT細胞遊走の免疫抑制における意義を調べる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Mast cell maturation is driven via a novel group III phospholipase A2-prostaglandin D2-DP1 receptor paracrine axis.2013

    • 著者名/発表者名
      Taketomi, Y., Sugimoto, Y., Murakami, M. et al.
    • 雑誌名

      Nature Immunology

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Restriction of mast cell proliferation through hyaluronan synthesis by co-cultured fibroblasts.2012

    • 著者名/発表者名
      Takano, H., Furuta, K., Yamashita, K., Sakanaka, M., Itano, N., Gohda, E., Nakayama, K., Kimata, K., Sugimoto, Y., Ichikawa, A., Tanaka, S.
    • 雑誌名

      Biol. Pharm. Bull.

      巻: 35 ページ: 408-412

    • DOI

      10.1248/bpb.35.408

    • 査読あり
  • [学会発表] 抗原非依存性炎症におけるプロスタグランジンの役割2012

    • 著者名/発表者名
      森本和志、白田成俊、武富芳隆、土屋創健、瀬木-西田恵里、田中智之、椛島健治、村上誠、成宮周、杉本幸彦
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡)
    • 年月日
      20121214-20121216
    • 招待講演
  • [学会発表] IL-33誘導性マスト細胞応答におけるプロスタグランジンI2受容体IPの役割2012

    • 著者名/発表者名
      渡辺真由帆、森本和志、土屋創健、成宮周、杉本幸彦
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡)
    • 年月日
      20121214-20121214
  • [学会発表] Characterization of gene expression profiles for different types of mast cells pooled from mouse stomach sub-regions by an RNA amplification method.2012

    • 著者名/発表者名
      Yukihiko Sugimoto and Soken Tsuchiya
    • 学会等名
      Single Cell Analysis Summit
    • 発表場所
      San Diego Town and Country Resort Hotel, San Diego, USA
    • 年月日
      20120925-20120926

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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