研究課題/領域番号 |
23659045
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
星野 真一 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40219168)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 翻訳終結 / 酵母プリオン / アミロイドーシス / 翻訳終結因子 / 終止コドン |
研究概要 |
本研究は、eRF3 がアミロイドを形成するプリオン型酵母[Psi+]株を利用し、各種アミロイドーシス疾患治療薬のスクリーニング系を開発することを目的としている。具体的にはeRF3 のプリオンドメインを各種疾患のアミロイド形成に関わる領域に置換した改変型[Psi+]株を作製し、各疾患に対しアミロイド形成の阻害あるいはアミロイドの分解を促進する薬物を、[Psi+]株の生育とコロニーの色の変化によりスクリーニングする系を確立する。当該年度においてはまず、eRF3 (sup35)破壊株に酵母eRF3のプリオンドメインをヒトプリオン蛋白質PrPのプリオンドメインに置換したeRF3を発現するプラスミドを導入することで、eRF3ーPrP発現酵母株を作製した。ナンセンス変異を有するアデニン合成酵素(ade1)を利用したコロニーの識別と、アデニン欠損培地での生育により、ヒトプリオン形質を有する[PSI+]型の酵母株を判別したところ、大部分の形質転換酵母において[PSI+]型が出現することを確認した。また、グアニジン培地にて培養することで、[psi-]の表現型を示すことが観察できたことから、ヒトプリオンドメインが、酵母細胞においてもプリオンとして機能しうることを証明することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記研究実績の概要に記載の通り、本年度はえRF3のプリオンドメインをヒトプリオンPrPのプリオンドメインに置換した改変型酵母の作製に成功し、ヒトプリオンドメインが酵母細胞においてもプリオンとして機能しうることが証明できたが、改変株の作製に時間がかかったことから、[PSI+]改変株を用いたスクリーニング系の確立の課題に着手するまっでには及ばなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、アミロイド線維形成を阻害する抗プリオン化合物の候補としてすでに同定されているキノリン誘導体やコンゴレッド色素およびそのアナログ、ピラゾロン誘導体を用いて、作製した出芽酵母[Psi+]改変株の有効性の検証を行なう。また、スクリーニングに伴う擬陽性、偽陰性の出現を排除することを目的として、新たにβガラクトシダーゼを利用したスクリーニングの系を代替系として導入する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度と同様、酵母細胞の培養や各種実験のためのプラスチック製品やガラス器具、制限酵素やDNAポリメラーゼなどの酵素類、PCRのためのDNAプライマーをはじめとする遺伝子組換え操作のための比較的高額の分子生物学関連試薬等の消耗品を計画している。
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