研究課題/領域番号 |
23659046
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
今泉 祐治 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (60117794)
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研究分担者 |
大矢 進 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (70275147)
山村 寿男 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (80398362)
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キーワード | 薬理 / 高効率探索系 / 創薬標的分子 / イオンチャネル / 活動電位 / 細胞死 / 変異ナトリウムチャネル |
研究概要 |
ヒト心臓由来Na+ (Nav1.5)チャネル遺伝子に点変異を加えることにより不活性化が著しく遅延されることを利用し、1発の活動電位発生で死ぬ細胞の作成を行った。深い静止膜電位をもたらすKir2.1と点変異させたNav1.5を同時に定常発現した細胞(基準試験細胞)を作成した。この細胞を電気刺激したところ、30秒を越す持続時間を有する活動電位が発生し、細胞内Na+濃度上昇による細胞死が5分以内に生じた。96穴ウェルに培養した基準試験細胞を白金双極電極で刺激した。細胞死を簡易に測定できる汎用MTT法を用い、Na+チャネル阻害薬のリドカインの用量作用的な細胞死抑制作用を計測することができた。これにより1発の活動電位発生により細胞死の生じる細胞の作成に成功した。 新薬開発時に必須の安全性試験の1つであるhERG K+ チャネル抑制試験への応用を考え、hERG遺伝子を基準試験細胞へ定常発現させたhERG試験用細胞を作成した。hEGRを発現した基準試験細胞は電気刺激により発生する活動電位が短く、細胞死を生じなかった。しかしhERG阻害作用を有するニフェカラントやその他5種の薬物を用いて、細胞死試験を行ったところ、各hERG阻害薬存在下での電気刺激により、長い活動電位が発生し細胞死が生じた。各薬物のhERGIC50を測定することができ、その値はパッチクランプ法によるhERG電流抑制から得られたIC50に近い値を示した。このことから新たな簡易hERG安全性試験として本法が利用できる可能性が示された。 イオンチャネルをターゲットした創薬スクリーニング法としての応用の可能性を検討するため、電位依存性K+チャネルのKv1.5或いはKv1.3を定常発現した基準試験細胞を作成した。これらの試験細胞はそれぞれKv1.3あるいはKv1.5阻害薬のスクリーニングに利用できることを明らかにした。
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