研究課題
プロテインノックダウン活性を示す化合物として我々が開発した最初のハイブリッド化合物SNIPER-2は、標的タンパク質CRABP-IIを減少させるだけでなく、ユビキチンリガーゼcIAP1を減少させる。cIAP1を減少させない化合物としてSNIPER-4を合成し、SNIPER-4がSNIPER-2より長時間にわたってCRABP-IIタンパク質を減少させる事を明らかにした。これらのSNIPERによるCRABP-IIタンパク質の減少は、プロテアソーム阻害剤を添加することにより抑制されたことから、標的タンパク質がプロテアソームで分解されている事がわかった。またSNIPER添加によりCRABP-IIがcIAP1によってポリユビキチン化されることを明らかにした。次に各種の細胞内局在シグナルを付加したCRABP-IIを細胞に発現させ、SNIPERによるCRABP-IIの減少を比較した。その結果、細胞質、細胞膜に局在させたCRABP-IIタンパク質は減少したが、ミトコンドリアに局在するCRABP-IIタンパク質は減少しなかった。これらの結果から、SNIPERは細胞質、細胞膜近傍に存在するタンパク質を分解する事ができるが、ミトコンドリア等の細胞内コンパートメントに存在するタンパク質は分解できないことが明らかになった。新しいSNIPERとして乳癌の増殖に重要なエストロゲン受容体を標的とするSNIPER(ER)を合成し、この化合物がERを減少させる活性を示す事を明らかにした。
1: 当初の計画以上に進展している
平成23年度に計画していた研究はほぼ予定通り行う事ができ、論文発表の準備を進めている。当初は平成24年度に予定していた核内受容体を標的としたプロテインノックダウン等の研究計画を一部前倒しで進めている。
順調に研究が進んでおり、前倒しで開始した平成24年度の研究計画も含め当初の予定に沿って研究を進める。
平成24年2月及び3月に海外及び国内の学会で研究成果を発表したが、出張旅費の精算手続きが年度内に終了しなかったために次年度使用額として計上された。平成24年度の研究費は、当初の予定通り物品(試薬、消耗品など)の購入に多くを充てる。
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http://www.nihs.go.jp/dfbg/frame.html