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2011 年度 実施状況報告書

超高エネルギー物質を利用する細胞破壊型殺癌剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23659052
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

柴田 哲男  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40293302)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードフッ素 / フタロシアニン / 癌 / 医薬 / トリフルオロ / サブフタロシアニン
研究概要

23年度は研究計画に従い,テトラゾールを結合させたトリフルオロエトキシ化フタロシアニン(TFEO-Pc)の合成を検討した。当初の計画では,アミノ基をもったTFEO-Pcを化学変換し,5-アミノテトラゾールへと誘導する予定であったが,反応は進行しなかった。そこで新たな合成ルートとしてTFEO-Pcに直接テトラゾールを導入することを考えた。アジド基を取り付けたテトラゾールと,エチニル基を持つTFEO-Pcをクリック反応により,トリアゾール結合を介したテトラゾール縮合型TFEO-Pcを合成した。本反応では,目的化合物一致する分子量を持つ2つの化合物が生成した。クリック反応時に,トリアゾールリンカーに結合する位置が異なる異性体が生成したものだと思われる。また当初の計画に従い,テトラゾールをトリフルオロエトキシ化サブフタロシアニン(TFEO-subPc)へ導入する検討も行った。TFEO-subPc の高い軸位置換活性を利用し,5-アミノテトラゾールのアミノ基を介してTFEO-subPcへと導入する予定であったが反応は進行しなかった。そこで予定を変更し,ヒドロキシ基を導入した5-アミノテトラゾールを用い,TFEO-subPcの軸位の置換反応によりエーテル結合を介したテトラゾール縮合型TFEO-subPcを合成した。合成したテトラゾール縮合型TFEO-Pcを用い抗癌活性を調査した。メラノーマ癌細胞B16F10に本化合物を曝露し,660 nmのLED光源により光を40分間照射した。結果,80%近くの癌細胞を死滅させることに成功した。しかし,本研究目的の爆発による細胞破壊は見受けられず,今後の研究課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

23年度の研究では,当初の目的通り5-アミノテトラゾールをトリフルオロエトキシ化フタロシアニン,及びトリフルオロエトキシ化サブフタロシアニンに導入することに成功した。爆発による腫瘍破壊活性こそ出ていないものの,テトラゾールの導入形態は様々な形が考えられ,今後検討を行っていく余地は十分ある。またテトラゾール縮合トリフルオロエトキシ化フタロシアニンは,細胞試験の結果から癌細胞に取り込まれやすいことが判明しており,医薬品としての素質を備えている。

今後の研究の推進方策

トリフルオロエトキシ化フタロシアニンからテトラゾール環へのエネルギー伝達をスムーズに行うため,フタロシアニンユニットとテトラゾールユニットを繋ぐリンカーの検討を行う。フタロシアニンの置換基を化学変換させ,テトラゾール環を作ることは難しいと思われるため,テトラゾール誘導体とフタロシアニン誘導体を直接化学反応によって結合させる手法をとる。この際,両ユニット間には様々なリンカーを導入することができる。これによりエネルギー移動効率が高くなる化合物を探り出し,腫瘍破壊型殺癌剤の完成を目指す。

次年度の研究費の使用計画

化合物の合成が中心となるため薬品類の購入にあてる。また,ガラス器具などの実験器具の購入も計画している。研究成果を発表するための旅費も計上している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] テトラゾール類縁体の合成と生理活性2012

    • 著者名/発表者名
      森 悟・徳永恵津子・柴田哲男
    • 学会等名
      日本化学会第92春季年会
    • 発表場所
      慶應義塾大学日吉キャンパス・矢上キャンパス
    • 年月日
      2012年3月25日~28日

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公開日: 2013-07-10  

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