研究課題/領域番号 |
23659057
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
森岡 弘志 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (20230097)
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研究分担者 |
諏訪 喜昭 熊本大学, 薬学部, 特任助教 (50516127)
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キーワード | AGE認識抗体 / 分子進化工学 / ファージディスプレイ / scFv抗体 / 低分子抗原 / デンドリマー型ペプチド / SPRバイオセンサー / 熱力学的解析 |
研究概要 |
タンパク質の糖化反応生成物であるAGE(Advanced Glycation Endproducts)は,多種多様な構造を持つ低分子量の翻訳後修飾体である.糖尿病関連疾患の研究を進める上で抗AGEモノクローナル抗体は有用であるが,エピトープであるAGEが低分子化合物であり,様々なタンパク質分子上に生成するため,従来の方法では特異性ならびに結合性が高い抗AGEモノクローナル抗体を作製するのは困難である.そこで本研究では,化学的にAGE修飾した合成ペプチド(デンドリマー型ペプチド)と分子進化工学の手法を用いて,特にGA-pyridineと呼ばれるAGEに対して,特異性ならびに結合性が高い遺伝子組換え型抗体(一本鎖抗体;scFv)の開発研究を行った. 1.デンドリマー型ペプチドを免疫したマウスから抗体可変領域(Fv)遺伝子ライブラリーの作製して,ファージディスプレイ法によるスクリーニングを行い,GA-pyridine高親和性scFvの獲得を進めているが,現時点では目標としている特性を持つクローンは得られていない.現在,条件を変えながら引き続きスクリーニングを続けている. 2.既にファージディスプレイ法により獲得しているGA-pyridineを認識するAGE73scFvをもとに,error-prone PCRによるランダム変異導入した遺伝子ライブラリーを作製した後,ファージディスプレイ法によりGA-pyridineに高親和性を示すAGE73scFv変異体のスクリーニングを行った.その結果,GA-pyridineを含むペプチドに対する結合活性が約2倍上昇し,結合活性の熱安定性が大きく向上したクローンを獲得することができた.さらに熱力学的解析を行い,本質的な抗原結合活性を解明した.本研究の方法により,今後進める生体内でのAGE探索系の開発に有用な抗体分子の獲得に成功した.
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