研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究は、従来ほとんど有効な利用がなされてこなかったカテナン構造、ロタキサン構造を、生理活性化合物に導入し、必要な場所で光や還元などにより除去することによって、生物活性など有用な活性の抑制された状態から、活性な状態に変換することに利用する、新しい概念・戦略に関するものである。主にカテナン構造を有する分子についての検討を進めた。活性を制御するために、固形ガン組織中で見られる高還元的環境で環構造が切断されると考えられる大環状ジスルフィドを採用した。異なった2つの環状分子からなるカテナンを合成する報告例は、従来ほとんどない。大環状生理活性化合物のモデルとして、まず、ω-ヒドロキシ長鎖脂肪酸のラクトン体を用い、 大環状ジスルフィドとのカテナン形成を検討した。上記ラクトン体は、紫外光吸収性などがなく検出が困難だったため、次に環内に蛍光団を組み込んだ大環状化合物を用いた。さらに、ジチオール分子にも、クラウンエーテルと高い親和性を持つと考えられるカチオン性の部位を組み込んだものを用いることとし合成を進め、改良型のジチオール分子の合成に成功した。効率的カテナン合成についても直前まで研究は進展している。これらの検討は、本手法の基礎研究として役立つことが期待される。
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http://www.phar.nagoya-cu.ac.jp/hp/ysk/research/archive.html