本研究では,フェノール系内分泌攪乱物質に対する優れた酸化活性を持つポーチュラカポリフェノールオキシダーゼ(PoPPO)を用いた,排出源処理に応用可能な新規システム構築を目指している.最終年度は大腸菌によるPoPPO大量調製系の確立,およびPoPPO固定化ガラスビーズ調製法の検討を行った. 前者の内容については,タバコ培養細胞BY-2に形質転換した際に,特に顕著なPPO活性を示したPoPPO2について大腸菌を用いた組換え酵素の大量発現系の確立を目指した.様々な発現ベクター,大腸菌株を試したものの,活性を有する組換え酵素を獲得することはできなかった. 後者の内容については,前年度の研究によりPoPPO固定化ガラスビーズが酵素固定化材料として有用であることが示されたため,本年度はPoPPO固定化ガラスビーズ大量調製法の確立を志向し,市販されている未修飾のガラスビーズを出発材料とした調製法の検討を行った.ガラスビーズ表面をアルカリで活性化後,トルエン中でのシランカップリング剤処理,続いてグルタルアルデヒドによるリンカー導入を行い,ポーチュラカ粗酵素溶液と反応させた.当該手法により調製したガラスビーズにおいてBPA代謝活性が検出された.また,本酵素固定化ビーズが有するBPA代謝活性のpH,熱に対する安定性を評価したところ,pH 5-9,15-35℃の範囲であれば80%以上の活性が維持されることが判明した.本研究により保存安定性に優れ,処理溶液から回収し,繰り返し処理が可能な酵素固定化ビーズを作成することが可能となった.現段階ではポーチュラカの根粗酵素をそのまま固定化に用いているが,PoPPOのみを大量に調製し,これを固定化することが可能となれば,現状に比べ極めて高い活性を有するビーズを調製することが可能になると期待される.
|