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2011 年度 実施状況報告書

特異的タンパク質間相互作用の自動的親和性亢進システム

研究課題

研究課題/領域番号 23659065
研究機関熊本大学

研究代表者

庄司 省三  熊本大学, 薬学部, 名誉教授 (60040317)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード相互作用
研究概要

注目するタンパク質の機能解明を行う際に、抗体等による特異的なタンパク質検出やドミナントネガティブ作用等によるタンパク質の特異的機能制御は、目的のタンパク質間の特異的な結合/相互作用により可能になる。ここで、注目するタンパク質AとB間の特異的な結合があるとき、野生型Aタンパク質よりもBタンパク質への結合親和性が高い変異Aタンパク質を意図的に作製することができれば、より信頼性の高いタンパク質の検出や機能制御が可能になり、質の高いタンパク質の機能解析ができるようになる。そのような意図した結合親和性を向上させる変異タンパク質を創出するために、本研究では、サルエイズの原因ウイルスであるSIVの易変異原性とそのウイルス生存原理を利用した、特異的タンパク質間相互作用の自動的親和性向上システムの開発を行う。様々なタンパク質間相互作用に応用できる普遍性の高いこのシステムが開発されれば、タンパク質機能研究、更には創薬領域等へ多大なインパクトを与えると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成23年度の研究計画は以下の通りであった。SIV構造タンパク質となる前駆体Pr55gagは、膜移行シグナルであるミリストイル化(Myr化)をうけるMAドメインとウイルスコアを形成するCAドメインからなる。このドメインを分離しAタンパク質融合CA-AとBタンパク質融合MA-Bが発現するベクターを作成する。それら融合にはリンカー配列(GlyGlyGlyGlySer)x3とウイルスプロテアーゼ(Pr)切断配列SQNVPIVGを介在させる。SIVは出芽後、成熟過程でPr55gagはPrで切断され感染性を獲得するが、この組換えウイルス(SIV/CA-A)は、成熟後に野生型と同等の構造を有しえる。細胞内でのMA-BとCA-AのA-B相互作用が複製効率を決定する段階となる。MA-Bを安定発現するSIV/CA-A感染標的細胞(MA-B細胞)を作成し、SIV/CA-AをMA-B細胞で継続的に感染複製を繰り返させる。1週間毎にウイルスを回収し保存しておく。SIV/CA-A複製能のモニタリングのためにMA-B細胞にSIVのプロモーターLTRの下流にLuciferase geneをコードしたDNAを導入させる。もしくは既存のウイルス複製評価系を利用する。複製効率の上昇が観察されれば、適宜SIV/CA-Aのゲノム内のA領域の遺伝子配列を解析する。複製効率の上昇がA領域内の変異によることを確認するため、改めてSIV/CA-A vectorにその変異を導入し複製効率を調べる。平成23年度は、上述の特性を有する組換えウイルス作成するために、各DNAコンストラクトの作製と発現機能の解析を行い、基礎的なデータの回収を試みた。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策は研究計画をそのまま遂行する。すなわち、以下の計画を継続する。SIV構造タンパク質となる前駆体Pr55gagは、膜移行シグナルであるミリストイル化(Myr化)をうけるMAドメインとウイルスコアを形成するCAドメインからなる。このドメインを分離しAタンパク質融合CA-AとBタンパク質融合MA-Bが発現するベクターを作成する。それら融合にはリンカー配列(GlyGlyGlyGlySer)x3とウイルスプロテアーゼ(Pr)切断配列SQNVPIVGを介在させる。SIVは出芽後、成熟過程でPr55gagはPrで切断され感染性を獲得するが、この組換えウイルス(SIV/CA-A)は、成熟後に野生型と同等の構造を有しえる。細胞内でのMA-BとCA-AのA-B相互作用が複製効率を決定する段階となる。MA-Bを安定発現するSIV/CA-A感染標的細胞(MA-B細胞)を作成し、SIV/CA-AをMA-B細胞で継続的に感染複製を繰り返させる。1週間毎にウイルスを回収し保存しておく。SIV/CA-A複製能のモニタリングのためにMA-B細胞にSIVのプロモーターLTRの下流にLuciferase geneをコードしたDNAを導入させる。もしくは既存のウイルス複製評価系を利用する。複製効率の上昇が観察されれば、適宜SIV/CA-Aのゲノム内のA領域の遺伝子配列を解析する。複製効率の上昇がA領域内の変異によることを確認するため、改めてSIV/CA-A vectorにその変異を導入し複製効率を調べる。

次年度の研究費の使用計画

H23年度計画に加え、当初計画していた以下の計画を進める。すなわち、Tat-ADにリンカーペプチド(GlyGlyGlyGlySer)x3を介して変異を導入したいタンパク質/ドメイン(A)を融合させ発現するTat-AD-Aベクターを構築する。一方TatのRBDにリンカーペプチドを介して他方のタンパク質/ドメイン(B)を融合したタンパク質を発現するTat-RBD-Bベクターを構築する。初めにこれらTat-AD-AとTat-RBD-Bの共発現によるTat転写活性をモニタできるレポータープラスミドを利用し評価する。そのTat活性を確認した上で、SIV発現vectorにTat-ADコード領域にTat-AD-Aを導入する(SIV/Tat-AD-A vector)。SIV/Tat-AD-A vectorは単独ではウイルス複製できず、Tat-RBD-Bを共発現することでのみSIV複製可能となる。SIV感受性細胞に、Tat-RBD-BおよびTat活性のモニタできるようにLTR-lucを導入し、SIV/Tat-AD-Aウイルスの感染標的細胞(TatRBD-B/LTRluc細胞)とする。SIV/Tat-AD-AウイルスをRBD-B/LTRluc細胞に感染させ、3~4日毎に培地交換と新たにRBD-B/LTRluc細胞を添加する。一定期間回収したウイルスを同条件でRBD-B/LTRluc細胞に感染させウイルス産生量とTat活性を評価する。SIV/Tat-AD-Aウイルスを用いたTat活性上昇がTat-AD-Aの変異導入によるものかどうかを確認する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Induction of extremely low protein expression level by fusion of C-terminal region of Nef2012

    • 著者名/発表者名
      Takamune N, Irisaka Y, Yamamoto M, Harada K, Shoji S, and Misumi S.
    • 雑誌名

      Biotechnology and Applied Biochemistry

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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