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2011 年度 実施状況報告書

薬物代謝酵素CYP2D6のイントロンSNPによりタンパク質発現量は変化するか?

研究課題

研究課題/領域番号 23659070
研究機関東北大学

研究代表者

平塚 真弘  東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (50282140)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードCYP2D6
研究概要

本研究では、医薬品の代謝を触媒するチトクロームP450 2D6 (CYP2D6)において、エキソン上遺伝子多型のみでは説明できない酵素活性の個人差を明らかにするために、イントロン上遺伝子多型の影響を解析した。仮に本研究により、CYP2D6遺伝子のイントロン上に特定のSNPが存在し、スプライシングエラーやトランスクリプション効率の変化が起こり、CYP2D6発現量の変化が認められれば、これまでに明らかではなかったCYP2D6発現量の個人差に関わるメカニズムが解明される。平成23年度は「Denaturing HPLCを用いたCYP2D6イントロンSNPスクリーニング」、「CYP2D6イントロンSNPのシークエンス解析」及び「イントロンSNPを含むCYP2D6のハプロタイプ解析」を行った。その結果、196人分の日本人DNAサンプルを鋳型として、各サンプルについてlong PCR法を用いた遺伝子完全欠損型変異アレルの確認を行った。次に、CYP2D6は塩基配列のホモロジーが高い偽遺伝子を有しているため、CYP2D6遺伝子を特異的に増幅する1次PCRを行った。ここで得られる増幅産物を鋳型とし、CYP2D6の9つのイントロン領域を特異的に増幅するプライマーを設計し、2次PCR増幅した。得られた産物はアガロースゲル電気泳動にてシングルバンドであることを確認し、Denaturing HPLCでハイスループットSNP検出を行った。SNPの存在が疑われたサンプルについては、DNAシークエンサーを用いて、その詳細な塩基配列を決定した。その結果、複数のイントロンSNPが同定され、ハプロタイプを決定することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

特に研究進行に対するトラブルもなく、当初予定した研究計画通りの成果を得ている。

今後の研究の推進方策

平成24年度はエキソン-イントロン領域を含むCYP2D6遺伝子を哺乳動物発現用ベクターにサブクローニングし、サル腎由来COS-7細胞中にCYP2D6タンパク質を発現させる。通常はCYP2D6 cDNAを発現プラスミドにクローニングするが、今回の研究ではイントロン領域のSNPがCYP2D6タンパク質の発現量に影響を及ぼすか否かを解析するため遺伝子全長を挿入する。すでに申請者等は予備実験の段階で、CYP2D6遺伝子全長をベクターに挿入してもCOS-7細胞中でCYP2D6タンパク質が発現することを確認している。また、COS-7細胞に発現させたCYP2D6 mRNAおよびCYP2D6タンパク質を定量し、イントロン上SNPの存在により発現量が変化するか否かを精査する。CYP2D6 mRNAの定量に関しては、細胞から総RNAを抽出して、リアルタイムRT-PCRにより定量を行う。CYP2D6タンパク質の定量に関しては、COS-7細胞を破砕後、遠心法によりミクロソーム画分を調製する。得られたタンパク質をSDS-PAGEにより分離後、抗CYP2D6抗体を用いたウェスタンブロットによりその発現を確認する。すでにタンパク質当たりのモル数が判っている市販のCYP2D6バキュロソームをスタンダードとして検量線を引き定量を行う。なお、発現ベクターのトランスフェクション効率の補正はβガラクトシダーゼ遺伝子を挿入した発現ベクターを共トランスフェクションして行う。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額は、今年度の研究を効率に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Influence of sex on propofol metabolism2012

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Hiratsuka et al
    • 雑誌名

      Eur. J. Clin. Pharmacol.

      巻: 68 ページ: 397-406

    • 査読あり
  • [雑誌論文] In vitro assessment of the allelic variants2012

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Hiratsuka
    • 雑誌名

      Drug Metab. Pharmacokinet.

      巻: 27 ページ: 68-84

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Novel single nucleotide polymorphism of CYP2A132011

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Hiratsuka et al
    • 雑誌名

      Drug Metab. Pharmacokinet.

      巻: 26 ページ: 544-547

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Association between cancer risk2011

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Hiratsuka et al
    • 雑誌名

      Drug Metab. Pharmacokinet.

      巻: 26 ページ: 516-522

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Functional characterization of CYP2B62011

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Hiratsuka et al
    • 雑誌名

      Drug Metab. Dispos.

      巻: 39 ページ: 1860-1865

    • 査読あり
  • [学会発表] 遺伝子多型情報に基づく薬物代謝酵素バリアントの酵素反応速度論的機能解析

    • 著者名/発表者名
      平塚真弘
    • 学会等名
      日本薬学会東北支部 第10回医療系薬学若手研究者セミナー(招待講演)
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      平成23年9月17日

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公開日: 2013-07-10  

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