研究課題/領域番号 |
23659073
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
堀江 利治 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90120154)
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研究分担者 |
設楽 悦久 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (00306656)
関根 秀一 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70401007)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 薬学 / 薬剤反応生 |
研究概要 |
肝臓の毛細胆管側膜に発現するBSEP (Bile salt export pump) は胆汁酸を濃縮的に胆汁中に排泄することで胆汁流の生成に寄与している。BSEPの阻害は、毒性の高い胆汁酸が肝細胞内に蓄積することで肝障害が惹起されるため、医薬品候補化合物のBSEP阻害能を評価するためのスクリーニング系が構築されている。しかし、既存の評価系では、輸送体の局在性の低下や代謝物が毒性の要因の場合にはその影響を評価し難い。そこで本研究では、ラット、ヒト遊離肝細胞を用いた、新たなBSEP機能評価系の構築を目的として、薬剤性肝障害を起こす薬物について、BSEPの局在性と輸送機能への影響の検討を行った。前年度において構築したBSEP-GFP発現MCARh7777細胞株において、Molecular Probe社の協力のもとハイコンテントスクリーニングを用いて、肝障害を誘発することが既知の化合物(25化合物)について、評価を行った結果、CyclosporinAに加えて胆汁うっ滞型肝障害を惹起する9化合物において、BSEPの内在化を引き起こす事が新たに明らかとなり、BSEP内在化という新規阻害機序により肝障害が惹起される可能性が明らかとなった。更に、ラット肝臓より単離したSandwich培養肝細胞において、胆汁酸の蓄積に依存した肝毒性を評価するためのスクリーニング系の構築を行い(特許出願準備中)、前検討において内在化を惹起する化合物において検討を追加した結果、胆汁酸の蓄積に依存した肝障害の増悪が確認され、内在化に伴う胆汁酸の蓄積が、肝障害の増悪因子となることが本研究の遂行により明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年どの研究の遂行により、肝障害を誘発することが既知の化合物(25化合物)について、胆汁うっ滞型肝障害を惹起する9化合物において、BSEPの内在化を引き起こす事が新たに明らかとなり、BSEP内在化という新規阻害機序により肝障害が惹起される可能性が明らかとなっており、当該研究の計画に沿った研究の進行状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、ヒト肝細胞においてもサンドイッチ培養肝細胞を用いた検討を行っていくことで、ヒトとラットでの動物間種差を考慮にいれた毒性予測が可能となることが期待される。
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次年度の研究費の使用計画 |
ラットおよびヒトBSEP発現Sf9ベシクル(\80,000/vial)は研究の効率化のためにgenomembrane(株)より購入する。実験動物(ラット)は\2,500/匹として初年度には培養肝細胞の調製に必要な匹数から算出した。細胞培養試薬・器具は、培養液、ウシ血清、細胞培養ディッシュを含み、これらは昨年度の消費量を参考に本研究に必要な分を算出した。論文投稿費は英文校正費及び投稿料を含むものとして算出した。
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