研究課題
肝臓の毛細胆管側膜に発現するBSEPの阻害は、毒性の高い胆汁酸が肝細胞内に蓄積することで肝障害が惹起されるため、医薬品候補化合物のBSEP阻害能を評価するためのスクリーニング系が構築されている。しかし、既存の評価系では、輸送体の局在性の低下や代謝物が毒性の要因の場合にはその影響を評価し難い。そこで本研究では、ラット、ヒト遊離肝細胞を用いた、新たなBSEP機能評価系の構築を目的として、薬剤性肝障害を起こす薬物について、BSEPの局在性と輸送機能への影響の検討を行った。前年度において構築したBSEP-GFP発現MCARh7777細胞株において、Molecular Probe社の協力のもとハイコンテントスクリーニングを用いて、肝障害を誘発することが既知の化合物(25化合物)について、評価を行った結果、CyclosporinAに加えて胆汁うっ滞型肝障害を惹起する9化合物において、BSEPの内在化を引き起こす事が新たに明らかとなり、BSEP内在化という新規阻害機序により肝障害が惹起される可能性が明らかとなった。本化合物において、ヒト肝細胞においてMatrigelを重層することで肝細胞の極性を回復させたSandwich cultured hepatocytesにおいて胆汁酸に依存した肝毒性が見られるかについて検討を加えた結果、先の検討においてBSEP阻害を示した9化合物のうちGlibenclamideにおいては、ヒト肝細胞に対して毒性を示さなかった。本化合物について、詳細な検討を行った結果、Glibenclamideはヒト肝細胞内で速やかに代謝による消失が起きていることが、毒性を示さない原因であることが明らかとなり、ヒトSandwich cultured hepatocytesを用いた手法が胆汁うっ滞型肝障害をスクローニングするための有用なツールとなることを示した。
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